【イタリア・ベローナ19日発】イタリア1部(セリエA)ACミランの日本代表FW本田圭佑(28)が敵地でのベローナ戦で2得点を挙げ、3―1での勝利の立役者になった。今年1月のイタリア移籍後初の1試合2得点で今季通算6得点目となり、リーグ得点ランキングも首位に再浮上。圧倒的な存在感を示し続けるエースの処遇をめぐり、チーム周辺が騒がしくなってきた。

 本田のためのような試合だった。前半21分にオウンゴールで先制すると、その6分後、左に開いていたFWエルシャーラウィがガラ空きの中央に展開。右サイドから走り込んだ本田が左足で、ダイレクトで合わせてゴールネットを揺らした。さらに後半11分、DFラミが自陣からグラウンダーでスルーパス。これに反応した本田がドリブルで持ち上がり、GKとの1対1を冷静に左足で左隅に流し込んだ。

 これで出場7試合で6得点とし、ユベントスFWテベスと並んで得点ランクトップ。CSKAモスクワ(ロシア)在籍時の2013年7月13日のロシアスーパー杯・ゼニト戦以来の1試合2得点に、本田は「ホッとしています」と安堵感を漂わせた。

 イングランドやドイツのメディアの速報サイトでも本田の“爆発”が報じられた。欧州全土でも注目を集める存在になったが、イタリアでは本格的に本田の「1月問題」の議論が熱を帯びている。

 日本代表が連覇をかけて出場する来年1月のアジアカップ(オーストラリア)に本田が招集されることは確実だが、ミランのガリアーニ副会長は「我々は参加に反対する。本田は不可欠な存在だ」と招集回避を要望。4日のキエボ戦後に噴出した話題が、今回の2得点で再びクローズアップされている。

 もちろん、アジアカップは大陸王者を決める公式戦のため、FIFAの規約では協会側の要請をクラブが拒否することはできない。しかし、最大で5試合のリーグ戦欠場となるだけに、ミラン側にとっては死活問題。招集回避を再度要請する方針を固めるとともに、本田の不在を想定し、大型新戦力のリストアップも始めた。

 もはや本田の影響力はチームの勝敗だけでなく、移籍市場の動向にまで及んでいる。その勢いは、まだまだ止まりそうにない。