【武田修宏の直言!】

 ドイツでも好調なFW岡崎慎司はすばらしい動きだったね。先制点も結果はオウンゴールだったけど、岡崎が前線からの積極的な守備で相手DFからボールを奪い、チャンスを作り出してから展開したもので、7割は岡崎のゴールと言ってもいいんじゃないかな。


 9月の代表合宿中に話したときには「前線で時間をつくる」「自分で好機をつくる」と言っていたけど、その言葉通りのパフォーマンスだったし、よかったと思う。来年1月のアジアカップに向けて、アギーレ監督も岡崎を攻撃陣の軸に考えてほしい。


 ところで、新チームとして3試合目だったけど、まだアギーレジャパンのコンセプトが見えてこない。ジャマイカを相手にボール回しの場面でも、ただ動かしているだけで意図的なものはまったく感じられなかった。守備面でも、チームとしての狙いを持ってボールを奪うシーンもなかったし、DFラインもバラバラだったよね。


 まだスタートしたばかりで、アギーレ監督がどこまでイレブンに戦術的な指導をしているのかはわからない。だけど、攻守両面で、あまり組織的な戦い方を出せていないのは残念でならない。現時点では、チーム力ではなく、あくまで選手個々の力でやっているという印象しかないね。


「まだ3試合」という方もいると思うけど、14日のブラジル戦(シンガポール)を含め、今後も組織的な戦いができないままなら、日本サッカー協会もアギーレ監督の処遇を考えたほうがいいかもしれない。適任なのは、やっぱり日本サッカーに精通している指導者だと思うよ。


 なかでも日本でもV川崎(現東京V)や柏などでタイトルを獲得した実績がある柏のネルシーニョ監督のようなタイプが日本代表には合うんじゃないかな。
 (元日本代表FW)

 ☆武田修宏:たけだ のぶひろ=1967年5月10日生まれ。静岡県出身。幼少期から「天才少年」と呼ばれたストライカー。名門・清水東(静岡)から86年に読売クラブ(現東京V)入り。ルーキーながら11得点を挙げ、リーグVに貢献し、MVPにも選出された。Jリーグ発足後はV川崎や磐田、京都、千葉などでプレー。00年には南米パラグアイのルケーニョに移籍。01年に東京Vに復帰し、同シーズンで現役引退した。Jリーグ通算は94得点。JSL時代も含めれば152得点を挙げた。87年に日本代表に選出。93年米国W杯アジア最終予選でドーハの悲劇を経験した。