背番号10の復活に“アギーレジャパンの申し子”が立ち上がった。親善試合ジャマイカ戦(10日、デンカビッグスワンスタジアム)とブラジル戦(14日、シンガポール)を控えるサッカー日本代表合宿が6日、新潟市内でスタート。新チーム初合流ながら不慣れな役割を求められているMF香川真司(25=ドルトムント)に対し、救いの手が差し伸べられた。ハビエル・アギーレ監督(55)から早くも絶大な信頼を得ているMF細貝萌(28=ヘルタ)が、エースの輝きを取り戻すため徹底サポートする構えだ。

 練習初日から合流した香川は長旅の疲れも感じさせず元気いっぱいでフルメニューを消化。初対面の選手も多い中、パス回しでは息の合ったプレーも見せた。


 アギーレジャパンの初陣となった9月の代表戦は脳振とうの影響もあって辞退していたため、日本代表としての活動は惨敗した6月のブラジルW杯以来。「ああいう結果に終わって悔しさがすごくあった。4年後を常に考えてアクションを起こしていきたい」と再起を誓ったが、新指揮官からはいきなり厳しい要求が出されている。


 アギーレ監督は「基本的には4―3―3の中盤の選手」とインサイドハーフでの起用を検討しているものの、守備も求められるポジションには苦い思い出がある。


 マンチェスター・ユナイテッド時代には昨季のデービッド・モイズ前監督(51)や今季のルイス・ファンハール監督(63)に守備的MFで起用されたが、散々な内容で酷評された。


 香川自身もアギーレ監督の方針には戸惑いを隠せず、この日も「監督がどういうことを考えているのか話し合っていきたい」と慎重な姿勢だ。


 このままではエースはいきなりつまずきかねない。そこで一肌脱ぐ決意を見せたのが細貝だ。


「真司は監督が言う中盤のポジションの中でも攻撃で良さを引き出せるし、お互いの持ち味をどう生かしていけるのかを話し合っていきたい。それはもちろん、求められている守備の細かなポイントも含めてですね」と力を込める。その上で「守備陣のほうも集めて話し合う場は作りたいし、自分は年齢的にも上になったのでそういう役割も求められる」と香川が守備陣との連係を深めるための“特別ミーティング”に招集する考えを明かした。


 細貝はブラジルW杯のメンバーからは外れたものの、アギーレ監督からは守備能力や戦術理解度の高さ、闘志あふれるプレーを高く評価され中心メンバーとなりつつある。代表チーム内ではその誠実な人柄からベテランはもちろん、新顔の選手からも信頼が厚い。それだけに、ザックジャパンの4年間でともに戦ってきた後輩が落ち込み、戸惑っている姿は見過ごせないというわけだ。


 これまで香川はFW本田圭佑(28=ACミラン)やFW岡崎慎司(28=マインツ)ら攻撃陣のミーティングに参加することはあっても、守備陣のミーティングに顔を出すことはなかった。細貝は今回の呼び掛けが香川にとって気分転換となり、新境地を開いてくれることを期待している。


 アギーレジャパンの心臓部を担う2人が名コンビへと成長すれば、チームにとっては大きなプラス。4年後のロシアW杯に向け、香川は復活の足掛かりをつかめるか。