【武田修宏の直言!!】

 アジア大会に出場していたU―21日本代表は残念な結果に終わったね。韓国に負けて8強止まりというのは、やはり物足りないよ。韓国は優勝すれば兵役免除なので意気込みが違った、という話も伝えられているけど、日本はそれを言い訳にしてはいけない。A代表だろうが、U―21代表だろうが、国を背負って国際大会に出場している限り、負けていい試合なんて1試合もないんだ。私が19歳でA代表デビューした時もその思いは強かったし、周りからのプレッシャーも大きかった。


 2年後のリオ五輪を目標にしているチームだから、今回はその強化の一環という考え方は否定しない。でも、大会に出る以上は勝たないといけない。しかも、この世代はアジアの舞台を勝ち抜いた実績がない。その事実は手倉森監督だけでなく、協会のトップも重く受け止めるべきだよ。


 私が思うのは、このチームは攻撃の意識が極端に足りないということ。手倉森監督は仙台をJ1で2位に導いた実績を持つが、まず守備ありきというやり方では限界がある。


 先週、圧倒的な強さで来季のJ1昇格を決めたJ2湘南は、ボールを持ったら全員が連動した細かいパス回しと、豊富な運動量でゴールを目指すという意思統一ができている。私はU―21と湘南の両方の練習を見せてもらったが、2つのチームのスタイルは対照的だ。


 もちろん、クラブと代表チームの練習時間は違うのでスタイルを確立するのは簡単ではない。でも、攻撃の意思統一を図ることはすぐにできるはずだよ。(元日本代表FW)

 ☆武田修宏:たけだ のぶひろ=1967年5月10日生まれ。静岡県出身。幼少期から「天才少年」と呼ばれたストライカー。名門・清水東(静岡)から86年に読売クラブ(現東京V)入り。ルーキーながら11得点を挙げ、リーグVに貢献し、MVPにも選出された。Jリーグ発足後はV川崎や磐田、京都、千葉などでプレー。00年には南米パラグアイのルケーニョに移籍。01年に東京Vに復帰し、同シーズンで現役引退した。Jリーグ通算は94得点。JSL時代も含めれば152得点を挙げた。87年に日本代表に選出。93年米国W杯アジア最終予選でドーハの悲劇を経験した。