サッカー日本代表はハビエル・アギーレ新監督(55)の2戦目となるベネズエラ戦(9日、横浜)に臨み、2―2と引き分けた。新戦力が2得点を挙げたものの、5日のウルグアイ戦同様に連動性を欠く場面も見られ、内容はイマイチ。初陣で噴出した不安を払拭できないなか、イレブンからは打開策として右FWで起用された本田圭佑(28=ACミラン)の司令塔復帰案が飛び出した。

 ミスが絡んだ失点で初白星を逃したアギーレ監督は「結果は妥当。前半は相手が上回っていた。(今後も)Jリーグを視察し続け、選手を見続けたい。そして仕事をしっかりこなしたい」と話した。新戦力のFW武藤嘉紀(22=FC東京)とMF柴崎岳(22=鹿島)がゴールを決める収穫はあったが、内容的には初陣ウルグアイ戦から大きく改善されたわけではない。日本サッカー協会の大仁邦弥会長(69)も「スタートしたばかりでしようがないけど、チームとしていいプレーはできなかった」と連係面での課題を指摘した。

 この2試合で4失点した守備陣はもちろんだが、攻撃でも中盤と前線とのコンビネーションがかみ合わない場面もあった。指揮官も選手の対応力を見るため細かい指示を出さないこともあって、チームとして成熟していくにはまだ時間がかかりそうな状況だ。

 そんななか、FW岡崎慎司(28=マインツ)が打開策を訴えた。「チームに司令塔っぽい選手がいない。本田が(右FWで起用されて中盤に)いないから、スルーパスが出てこない」

 ザックジャパンではフォーメーションこそ違えど本田が不動のトップ下に君臨してゲームを作った。このポジションに本田が復帰してほしいというわけだ。

 なぜか。まずは、本田がアギーレジャパンで担っている4―3―3の右FWのポジションに完全にフィットしているとは言いがたいから。この日は低調だったウルグアイ戦に比べてパフォーマンスは上がったものの、依然として手探り状態。本田も「ミスもあったし、個人としてはやはり結果でチームに貢献したかった」と悔しさをにじませている。仮に中盤での起用だったら、結果は違っていた可能性はある。

 もう一つの理由は、司令塔的な役割を期待された左のサイドハーフのMF柴崎が、得点を決めた場面以外は求められた役割をまっとうできなかったことだ。特に前半ではパスミスが目立ち、“つなぎ”の部分では力不足を露呈している。MF遠藤保仁(34=G大阪)の後継者として期待がかかる若武者だが、代表チームの攻撃を引っ張っていくにはまだまだ時間がかかる。何より、本田自身がトップ下のポジションにこだわりを持っていただけに“岡崎案”に異論はないだろう。最終判断はアギーレ監督に委ねられるとはいえ、現状のままで良いはずがない。果たして…。