アギーレジャパンがキャプテン問題で迷走している。キリンチャレンジカップ・ベネズエラ戦(9日、横浜)では、2試合連続でFW本田圭佑(28=ACミラン)がゲームキャプテンを務める。ハビエル・アギーレ監督(55)は初陣のウルグアイ戦(5日)後に本田を含めた主将3人制を敷く方針を示したが、3人ともに“問題”を抱えており、主将の一本化までには時間を要しそうだ。

 アギーレ監督は初陣でゲームキャプテンを務めた本田、GK川島永嗣(31=スタンダール)、DF吉田麻也(26=サウサンプトン)の3人を主将に指名。8日の会見では「(ベネズエラ戦で)キャプテンマークを巻くのは本田だ。素晴らしい経験があり、チームへの影響力も持っている」と話し、2戦連続でエースにチームを託した。


 日本代表の主将は当面、トロイカ体制で様子を見ることになったが「まだ誰になるかは決まらないんじゃないか」と代表選手の一人は指摘。実際、一本化する見通しは立っていない。


 というのも、3人がそれぞれ“問題”を抱えているからだ。アギーレ監督の信頼を得て最有力候補となった本田も「面倒というか、義務みたいなものが発生しちゃうんでね。自由にいきたい」と早々に辞退。メディア対応やチームのまとめ役など主将の責務には消極的で、今後もその意思を貫くと見られる。

<次ページ>川島、吉田にも問題が…


 最年長の川島はリーダーシップを発揮できるタイプ。ただ、昨年10月の欧州遠征でサポーターへのあいさつを巡り、本田と激しく口論し、つかみ合い寸前のケンカになった。個性派集団をまとめ上げる求心力の点で不安があり、本田との対立も生み出しかねない。


 吉田はロンドン五輪でチームをまとめた経験を買われたが、所属クラブでレギュラーの座を確保できていない。実績の面からして、ベテランに対して強くものを言えるような存在感があるとはいえないだろう。


 こうした状況からチーム内では「あくまで監督が決めることですけど、長谷部(誠)さんはやっぱりすごい。あれだけチームをしっかりまとめ上げられる人はそうはいないですから」(前出の選手)と長谷部の“続投”を求める声は根強い。本田も「マコが一番ふさわしい」と支持している。


 とはいえ、南アフリカW杯から4年間、長谷部は重責を担ってきた。ブラジルW杯後には「(次の主将は)若い選手がやるべき」との考えを示しており、翻意するかどうか。最終的にはアギーレ監督が主将を1人に絞り込むことになりそうだが、帯に短したすきに長し。結論が出るまでには時間がかかりそうだ。