“肩たたき”の前触れか なでしこ澤外しの舞台裏

2014年08月22日 16時00分

なでしこジャパンの背番号10は澤のものだったが…

 日本サッカー協会は21日、アジア大会(9月、韓国・仁川)に出場する男女代表メンバーを発表。大会連覇を目指すなでしこジャパンの佐々木則夫監督(56)は大黒柱のMF澤穂希(35=INAC神戸)を外す大胆な編成に着手した。しかも、エースナンバーの背番号「10」も澤からFW高瀬愛実(23)に移った。これは、なでしこジャパンを長きにわたって支えてきた「大御所」への“肩たたき”の前触れなのか。舞台裏を探ってみると…。

 

 アジア大会は国際Aマッチではないため、エースのFW大儀見優季(27=チェルシー)ら海外組の招集ができないうえ、登録メンバーはアジアカップよりも5人少ない18人。佐々木監督は「核になる選手と経験の浅い選手の融合」をポイントにメンバーを選出したが、そこに澤の名前はなかった。

 

 指揮官は「ベースの選手はいるので、新たな選手を加えた中でチャレンジしたい」とだけ話し、澤の具体的な落選理由は語らなかった。ケガや病気以外で澤が代表から漏れたのは、優勝した2011年のドイツW杯以降では初めてのこと。しかも今回は大会運営上、10番を空き番号にできず、エースナンバーの背番号「10」がINAC神戸の同僚FW高瀬に移ったことで“二重の衝撃”となった。

 

 ドイツW杯以前でも、テスト的な意味合いが強かった遠征などで澤がメンバーから外れたことはあったが、そのときはいずれも「10番」を空き番号にしている。佐々木監督は「大御所の10番を移行したというわけではない」と“事件化”を避けようとしたが、あえて実名を出さず「大御所」という言葉を使ったことで、2人の間に微妙な距離感があることも浮き彫りになった。

 

 舞台裏で何があったのか。実は今回のメンバー選考の過程で、佐々木監督はかなり頭を痛めていた。アジア大会を中継するテレビ局から数人の選手の代表入りを求められ、近い関係者に「どうして俺の思い通りにできないんだ」と憤慨。テレビ局側から澤、MF川澄奈穂美(28=レイン)、MF猶本光(20=浦和)の3人がリクエストされたことに困惑していたという。

 

 もともと選出を予定していた川澄と猶本については受け入れたが、来年の2015年カナダW杯で主力扱いできないと判断し、最初から不選出と決めていた澤に関しては初志貫徹。とはいえ、澤外しの過程でいきなり「10番」まで猶本ら次世代の選手に移行すると、それこそ“10番まで剝奪”の大騒動になりかねない。そこで、同僚の高瀬を「暫定10番」にしておくことで摩擦を減らした形だ。

 

 男子のブラジルW杯では前回王者のスペインが世代交代に失敗して、1次リーグで敗退。人ごとに思えなかった佐々木監督は「すぐに髪をすっぱり切って気持ちを新たにした」。澤外しから始めるなでしこの世代交代。指揮官は本気だ。