サッカー日本代表の新監督に決まったハビエル・アギーレ氏(55)と日本サッカー協会の交渉は当初、難航が予想されていた。協会側が提示した条件とアギーレ氏側の要求には契約年数で2年、年俸でも1億3000万円近くの開きがあったはずだが、最終的にはアギーレ氏側が歩み寄る形で決着がついた。意外なほどあっさりと、大幅な金額の開きをうめた“カラクリ”とは――。

 交渉役だった日本サッカー協会の原博実専務理事(55=兼任技術委員長)も「こういうのはタイミング。9月から指揮を執ってもらいたかったから、うまくいった方ですかね」と自画自賛しているが、今回の新監督人事はスピード決着といっていい。だが、年俸180万ユーロ(約2億5000万円)の2年契約を提示していた日本協会に対し当初、アギーレ氏側は強気の姿勢を崩さなかった。

 協会側が後任候補を一本化していることを知ると、4年契約の年俸280万ユーロ(約3億8000万円)を求めてきた(本紙既報)。だが、最終的にアギーレ氏側が協会が提示した条件をのむ形になったことになる。

 なぜか。協会関係者は「ベースとなるのは2億5000万円でも、成果報酬を厚めにつけたということ。アジアカップにW杯予選、W杯本大会とそれぞれボーナスが設けられて、総額で4億近くにいくレベル」と打ち明ける。初采配が9月5日の親善試合ウルグアイ戦(札幌)になるアギーレ氏にとって、当面の目標は連覇がかかる来年1月のアジアカップ(オーストラリア)になる。このアジアカップには優勝ボーナス3000万円が設定されているという。このほかにも親善試合の勝利で数百万円、また2018年のロシアW杯予選の突破では数千万円レベルと細かく設定された。

 最終的に日本の悲願でもあるW杯ベスト8入りを果たせば、当初の要求に近い額に達することになるもようだ。

 また、アギーレ氏にも態度を軟化せざるを得ない事情もあった。アギーレ氏側は日本以外からもオファーがあることを示唆し、条件闘争に持ち込もうとしていた。これは契約交渉の場では頻繁に行われる手法だというが「正式なオファーが日本しかなかったということだろう」(Jリーグ関係者)。実際には他国からの正式オファーはなかったと見られ、結局は好待遇の日本代表監督に就任する以外に選択肢がなかったのだ。

“巨大ニンジン”をぶら下げられたアギーレ氏は日本サッカーを発展させられるのか。お手並み拝見だ。=金額は推定=