沢が若手に“闘魂注入”

2012年08月06日 12時00分

【英国・ロンドン発】メダルがかかる6日(日本時間7日)の大一番、フランスとの準決勝を控えたなでしこジャパンのMF沢穂希(33=INAC神戸)は精神的な強さを維持するために若手に対して“闘魂注入”を実行する。

 4年前の北京五輪と同じステージまでたどり着いたなでしこジャパンに喜びや達成感はまったくない。「4年前はベスト4を目標にしてきて、準決勝と3位決定戦で力の差を感じながら負けた。メダルを取ろうとしてきた国とそうではない国の差だった。でも今回は最初から目標は金メダル。ここからをどうやって勝つかを考えてきたわけだから、彼女たちに仕事を終えた様子は見られない」と佐々木則夫監督(54)もようやく“スタートライン”に着いたに過ぎないことを強調した。

 ただ、その中で気になることがチーム内に残っているのも事実。準々決勝ブラジル戦の前に沢が漏らした「チーム内に温度差がある」という発言通り、選手間に意気込みの差が生じている。全員が金メダルを取る目標を立てながらも「北京を知らないメンバーはメダルを取れずに帰る悔しさを知らない」と沢は若手の覚悟に物足りなさを感じている。

 そこで、大一番を前に「みんなに一体感を持たせるために、私なりのやり方で伝えていきたい」と北京未経験組との個人ミーティングを行うという。主力ではMF川澄奈穂美(26=INAC神戸)やDF鮫島彩(25=仙台)、DF熊谷沙希(21=フランクフルト)が対象で「W杯とは違うことを教えたい。とにかく最後は精神力ということ、そしてメダルの重さも感じさせる」と4度目の五輪となる経験豊富な沢だからこそ言える精神論を説く。

 1月に主将の座を宮間に譲ってからの沢は肉離れ、めまい症といったアクシデントに見舞われたこともあり、チーム全体をケアする作業はしてこなかった。自分のコンディションを戻すことで精一杯だったため、手が回らなかった。だが今大会初戦のカナダ戦で完全復調をアピール。そこから生まれた余裕が他のイレブンに闘魂注入ができるほど精神状態になった理由だ。

 初出場となった96年アトランタ大会では1次リーグ3戦全敗、2004年アテネ大会では歴史的な1勝を挙げ8強入り、北京大会では五輪初ゴールを決め4強と沢は着実に階段をのぼってきた。歴史を積み重ねてきた沢ならではの言葉こそ、なでしこジャパンの財産でもある。FIFAの女子年間最優秀選手まで獲得した沢がいよいよ最後の仕事に取り掛かる。