なでしこ「トイレ会議」で仏撃破だ

2012年08月05日 18時00分

【英国・カーディフ発】なでしこジャパンが準々決勝でブラジルを下し、08年北京五輪に続く2大会連続4強を決めた。1次リーグとは違い、なでしこらしさを発揮した裏には、チーム崩壊の危機を救ったキャプテン・宮間あや(27=岡山湯郷)のファインプレーがあった。6日(日本時間7日、ロンドン)に決勝進出をかけフランスと戦う。

 日本が苦しみながらも、ブラジルの猛攻を耐え抜いた。昨年7月の女子W杯を制し、世界王者として臨んだロンドン五輪。周囲の見る目が変わったことでプレッシャーを感じていた。さらに各国になでしこサッカーを徹底的に研究され、1次リーグでは日本の特徴である華麗なパスワークを封じられた。自分たちのサッカーができないことでチームの雰囲気も悪くなっていった。

 大黒柱のMF沢穂希(33=INAC神戸)ら主力選手が危機感を覚えたのに対し、若手イレブンの意識はそこまでになく、溝は深まるばかり。なんとか1次リーグこそ、2位通過したものの、とても優勝を目指すチームではなかった。

 沢も「いろいろ課題が出て、選手間の温度差がある。みんなメダルを目標にしていることは変わらないけど…」と嘆くほど、内情は崩壊寸前だった。


 こうした現状を打破したのは主将の宮間だ。チームミーティングだけでなく、個別のミーティングを提案。FWやDFなどポジション別の他に、ボランチとFW、サイドバックと攻撃的MFという細かな組み合わせでのミーティングを指示。主力やサブはもちろん、ベテランや若手の枠も取り払って積極的に交流させた。

 ミーティングは時間や場所を選ばずに行われた。それこそ食事会場やバスの中、さらにはトイレにまで及び、連係の確認を重ねた。チームスタッフが「数え切れないほどやっていた」と明かすように、会話を重ねることで「なでしこらしさ」を取り戻した。

 この効果はてきめんだった。ブラジルの波状攻撃を組織的な守備力で完封。これまであまり会話が弾まなかったMF川澄奈穂美(26=INAC神戸)とDF鮫島彩(25=仙台)が、守備の連係でスムーズにマークの受け渡しを行う場面が何度も見られた。最終ラインもDF岩清水梓(25=日テレ)がMF陣と協力し、3大会連続五輪得点王を狙ったFWクリスチアネ(27)に仕事をさせなかった。

 次はサッカーの聖地ウェンブリーでフランスと対戦する。「4年前はベスト4を目指していたから4位にしかなれなかった」と大一番でメダルを逃した。今回は狙うは頂点だけ。チーム崩壊危機を乗り越え、強固な信頼関係を築いたなでしこジャパンは、本来の輝きを取り戻した。