【フロリダ州クリアウオーター5日(日本時間6日)発】ついに“本田外し”を決断か――。ブラジルW杯に向け米国で合宿中のザックジャパンは6日(同7日)に国際親善試合でザンビアと対戦する。日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督(61)はW杯本番のレギュラーについて「白紙」と強調し、不振から抜け出せないでいる不動のエースFW本田圭佑(27=ACミラン)の起用法についても迷いを見せた。

 ザンビア戦を前に、会見したザッケローニ監督は歯切れが悪かった。W杯に向け「ここ数か月、メンバーを入れ替えながらも良い戦いができ、結果も付いてきている。チーム力は上がっている。そういう意味では、現時点で11人のレギュラーが誰なのかというところは…。それを決めるのは難しい状況に来ている」と“白紙”を強調した。

 順調な調整を続けるザックジャパンは親善試合でキプロス、コスタリカに連勝した一方、負傷明けのキャプテンMF長谷部誠(30=ニュルンベルク)が全身の張り、DF酒井高徳(23=シュツットガルト)も右ヒザを痛め、別メニュー調整と戦力が定まっていない。不動だった攻撃陣もFW大久保嘉人(31=川崎)がすばらしい存在感を見せたため、スタメン選定に苦悩しているわけだ。

 なかでも指揮官をもっとも困惑させているのは、深刻な不振に陥っているエースの存在だろう。5日の会見では今季出場機会の少なかった本田と香川の現在の状態について問われると、指揮官は一瞬顔を曇らせてからこう明かした。「今はまだ考えているところ。ですが、試合勘は上がってきている印象はある。これから決めていきたいと思っている」

 日本の10番を背負う香川に関しては、2日のコスタリカ戦でキレのある動きを披露。ゴールを挙げたうえで、全得点に絡む活躍を見せた。香川自身も「状態はすごくいい」と不安を一蹴している。一方、本田の状態はまったく上がってこない。試合でも珍しくミスを連発するなど、精彩を欠くパフォーマンスで不調なのは誰の目から見ても明らかだった。

 本田を重用してきたザッケローニ監督は「本田の特長や能力は分かっている。本番にしっかり合わせられる」と変わらぬ信頼を口にしてきた。本田も「感覚は日に日に良くなっている。手応えとして感じている」と復活への手応えを話しているが、雲行きは変わってきた。

 そんななかで迎える強化試合は「最後のテストをできる場だととらえている。数人の選手を試してみたいと考えているし、90分間できるかどうかも見極めないといけない。チームが90分を通してどんな戦いをできるかもチェックしないといけない」。

 W杯メンバー発表後の親善試合2戦では本田の試合感覚を取り戻させるため「なるべく長い時間起用したい」とフル出場させた指揮官も、ザンビア戦に向け、これまでの主張を一転させ「現時点で何とも言えない」。明言こそ避けたものの“本田外し”を想定していることを示唆した。