日本代表の鹿児島・指宿合宿2日目(22日)、FW岡崎慎司(28=マインツ)による“行列のできるサッカー相談所”が大好評だ。ブラジルW杯の1次リーグ突破に向けて大きなポイントとなるのが得点力。今季のドイツ1部リーグで15ゴールと大活躍した岡崎への期待は大きいが、若手の多い攻撃陣の先生役としてもさっそく力を発揮している。

 指宿合宿で特に気を吐いているのが岡崎だ。ハードなトレーニングメニューで口数が少なくなる選手もいるなか、率先して声を出してイレブンを引っ張る。「ここの苦しさは大事なんです。上げるだけ上げて1週間で土台を作って、W杯へと切り替えていく」と自信たっぷりに調整を進めている。

 さらに、グラウンドの外でも存在感はピカイチだ。「前回のW杯で良かったのはやはり“団結”だと思うし、僕自身苦しかったこともある。そういう部分を若い選手にどんどん話していきたいし、それで若いヤツを楽にさせられればと思う。そうやって盛り上げていきたい」とヤングイレブンの“教官役”を自ら買って出た。

 前回南アフリカW杯では、直前に1トップのレギュラーをFW本田圭佑(27=ACミラン)に奪われる屈辱を味わった。苦い経験をバネにドイツへ移籍し、今季は欧州主要リーグで日本人歴代最多となる15ゴールを量産。類いまれな決定力を誇るストライカーへと成長した。そうした挫折と栄光から学んだものを若手へ還元し、チーム力の底上げにつなげようと考えているのだ。

 実際、FW柿谷曜一朗(24=C大阪)とFW斎藤学(24=横浜M)がともにリーグ戦1得点と苦しむなど、若手の決定力不足は懸念材料の一つ。一方、岡崎が世界を相手にブレークした秘訣は誰もが興味を持っている。そのため岡崎のもとにはアドバイスを求める選手が列を成すように殺到している。

 宿舎では“岡崎先生”の課外授業が大盛況で、FW大迫勇也(24=1860ミュンヘン)も「とても刺激になる存在だし、吸収できることもたくさんある。僕からも聞きたいことがいろいろあるので話を聞いたりしています」と話す。その存在はザックジャパンにとって、なくてはならないものになっている。