ザックジャパンはブラジルW杯へ向け、鹿児島合宿がいよいよ始動した。サプライズ選出されたFW大久保嘉人(31=川崎)は約2年ぶりに代表参加。どのポジションでプレーするのかに注目が集まるが、待望論のある1トップ起用にはエースのFW本田圭佑(27=ACミラン)が猛反発しかねないという。

 大久保の選出に日本代表イレブンは好意的だ。FW香川真司(25=マンチェスター・ユナイテッド)も「Jリーグの結果を見れば誰もが納得ですし、あういうタイプのストライカーがいないので、そういう意味ではすごく楽しみ」と期待している。

 注目の起用法についてアルベルト・ザッケローニ監督(61)は「(攻撃的な)前の4枚のどこかに入るだろう」と3ポジションある攻撃的MFや1トップを示唆。昨季J1得点王は今季も13試合で8得点とゴールを量産しており、1トップが有力視されている。

 そんななか、公認S級ライセンスを持つJクラブの強化担当者は「大久保の1トップはありだと思うけど、代表は柿谷(曜一朗=24、C大阪)と大迫(勇也=24、1860ミュンヘン)でやってきたから、全くタイプの違う大久保が入ることになれば本田が怒ると思うね。前田(遼一=32、J2磐田)でもダメだったんだから」と指摘。

 日本代表の攻撃陣を仕切る本田はFW陣に厳しい注文をつけてきた。昨年9月には「デカイだけで足元がうまくないタイプや、足元がうまくても前で数字(得点)を挙げられないタイプとか…」と暗に前田とFWハーフナー・マイク(27=フィテッセ)への不満を漏らしたように、1トップのタイプにこだわりがある。

 現在、代表の1トップは柿谷と大迫が務める。2人のタイプは少し違うものの、共通点も多い。昨年11月の欧州遠征ではベルギー、オランダの強豪相手に結果を出している。一方で、昨年6月のコンフェデレーションズカップ、対ブラジル戦では普段右サイドを務める岡崎が1トップ起用されたが、チームはバランスを崩して大惨敗。こうした例もあって、タイプの違う大久保の1トップ起用には、エースが猛反発するのではないかと見られているのだ。

 大久保の加入で日本代表にどんな化学反応が起こるのか。鹿児島合宿や今後の親善試合などでザックジャパンでの適正ポジションを模索していくことになるが、救世主として期待されるだけに、起用法次第では“もろ刃の剣”となりそうだ。