【ベトナム・ホーチミン発】来年のカナダ女子W杯予選を兼ねたサッカー・女子アジアカップが14日に開幕し、同杯初優勝を目指す日本代表「なでしこジャパン」は1次リーグA組初戦で、前回大会優勝のオーストラリアと2―2で引き分けた。W杯女王の面目を何とか保ったが、関係者の間からは佐々木則夫監督(55)の采配ミスを指摘する声が上がっている。

 前半21分、後半19分の失点はいずれも自分たちのミスから許したカウンターからだった。追い込まれたなでしこは後半24分にMF川澄奈穂美(28=レイン)の左クロスがオウンゴールを誘発。同38分には川澄の浮き球クロスを途中出場のFW大儀見優季(26=チェルシー)がなでしこ歴代2位タイの49点目となる左足ダイレクトボレーを決めて勝ち点1をもぎ取った。主将のMF宮間あや(29=岡山湯郷)は「引き分けは悔しい。反省しかない」とふがいない試合運びを嘆いた。

 何とか黒星を逃れた冷や汗ものの試合内容に、なでしこリーグの元監督は「なぜ大儀見を最初から使わなかったのか。初戦は緊張するものなんだから、ベテランの澤も使って落ち着いた試合の入り方をすべきだった」と大儀見とMF澤穂希(35=INAC神戸)を先発から外した采配を疑問視。佐々木監督が「立ち上がりで浮き足立った」と悔やんだことに加え、大儀見が投入された前半35分からチームが活性化しただけに、批判もやむなしの采配だった。

 大儀見はチーム合流したばかりで、澤の体調も万全でないとはいえ、2、3戦目の相手のベトナム、ヨルダンは明らかな格下であることを考えると、初戦をベストメンバーで戦うのが“セオリー”。将来を考えてのこととはいえ、自分たちでリズムを崩して大会に突入したなでしこの今後が心配される。