9月に開幕する女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」に参戦する日テレは21日、ゼネラルマネジャー(GM)を務める竹本一彦氏(65)が監督に就任すると発表した。竹本氏の妻はなでしこジャパンの高倉麻子監督(52)。日テレの前身、読売西友ベレーザで1986年から11年指揮を執り、日本女子代表コーチも兼任していた時期もあり、昨年日テレのGMに就任していた。

 過去には男子のG大阪や柏でもコーチ、監督も務めており、多少のブランクがあることを除けば実績としては申し分ない。ただ、日テレは昨季リーグ制覇を逃したとはいえ、皇后杯を制したように監督交代に踏み切る理由は見つけにくい。にもかかわらず、竹本氏が新監督に就任したのはなぜか。

 WEリーグの規定では、監督は最上位の公認S級コーチライセンスの保持が条件。だが、昨季まで指揮を執った永田雅人氏(47)はA級までしか持っておらず、監督登録ができない。そのための〝苦肉の策〟と言ってもいい。今回、竹本新監督のもと、これまでの戦術など継続させるために、ヘッドコーチのポストに就いて実質的に指揮を執る形となった。

 WEリーグには、各チームの監督を女性指導者が務めるというのが理想の一つとしてある。だが、現状ではS級を取得している女性指導者は少なく、男性指導者を起用するクラブがほとんど。こうした事態を打開するため、日本協会は女性指導者を対象にした「Associate―Pro(Aプロ)ライセンス養成講習会」を開設した。Aプロライセンスを取得するとS級取得試験も受けられる。

 こうした試みで女性指導者を増やし、WEリーグは選手層ならぬ〝監督層〟を厚くしていくことも目標としている。将来的には、今回の日テレのような〝人事異動〟は起こらないとも思えるが、日本女子サッカーにおける監督問題の解決にはもう少し時間がかかりそうだ。