ワンマンオーナー主導の大型金満補強に“メス”が入れられた。欧州サッカー連盟(UEFA)はフランスリーグのパリ・サンジェルマン(PSG)に対し、今シーズンから制度化された「ファイナンシャル・フェアプレー」(FFP=許容される赤字に上限を設け、収支の黒字化を義務付ける方策)に違反しているとして、厳罰を下す可能性があることを明らかにした。


 PSGは7日に2季連続4度目の国内リーグ制覇を達成。欧州チャンピオンズリーグ(CL)でも2季連続8強入りし、欧州内でも力を発揮している。この成績を支えるのはスウェーデン代表FWズラタン・イブラヒモビッチ(32)やブラジル代表DFチアゴシウバ(29)ら世界的な実力者。2011年5月にカタール政府系投資ファンドがクラブを買収し、会長に就任したケライフィ氏が巨額を投じて獲得した選手たちだ。


 ケライフィ会長が最近2年で使った金額は約500億円と言われる。このやり方には批判の声が絶えないが、PSGとしては“新規スポンサー”獲得による収入増が補強費につながっているという見解で、来季も悲願のCL初優勝に向けて大型補強を続ける方針を固めていた。


 だがUEFAはこの補強費を「オーナーのポケットマネー」とし、クラブの収入ではなく、あくまで「一時金」と判断。FFPの目的の一つである「クラブ育成組織の拡充」が十分でないことを理由に、金満補強を「規則違反」とみなした。


 欧州の複数メディアの報道によると、処分には罰金6000万ユーロ(約85億円)と来季の欧州CLでの登録選手数削減、総年俸規制、移籍の制限が盛り込まれるという。ケライフィ会長は「我々の挑戦は続く。夢見ることを邪魔するのは誰にもできない」と徹底抗戦のもよう。今後の成り行きに大きな注目が集まる。