なでしこジャパンが8日の国際親善試合ニュージーランド戦に2―1と勝利。W杯出場権のかかるアジアカップ(14日開幕、ベトナム)に向けてひとまず順調な仕上がりを見せた。その一方で心配なのが人気の低下だ。

 白熱した試合展開とは裏腹にスタンドは空席が目立ち、2万500人収容の大阪・キンチョウスタジアムに来場したファンはわずか6685人。なでしこブームが起きた2011年のW杯優勝以降に日本で開催された女子代表戦で最少の観客数を記録してしまった。

 今回の一戦を前に、なでしこジャパンは総力を挙げてプロモーションを展開。佐々木則夫監督(55)が代表メンバー発表会見で「しょっちゅうやる相手ということではなくて、ぜひみなさんにも会場に来てほしい」と異例の呼びかけ。1日には甲子園球場で阪神対広島戦の始球式も行い、関西圏のスポーツファンに猛アピールした。そんな涙ぐましい努力も集客に結びつかなかった。

 人気低下の原因の一つがなでしこメンバーのマンネリ化だ。「新しいスターが出てこないと話題にもならないし、飽きられてしまう。もともと固定ファンが多かったわけではないし、強いだけでは人気を維持するのは難しい」と大手広告代理店関係者は指摘する。

 3年前のW杯優勝時からレギュラーはほぼ固定されており、主力を脅かすような存在は皆無。今回は海外組を呼べない事情から若手を抜てきしたが、期待されたMF猶本光(20=浦和)らは不発で常連組との差は明らか。「なかなか世代交代は簡単にいかないなと」と視察した日本サッカー協会の大仁邦弥会長(69)が語ったように、新戦力の台頭は難しい状況だ。

 主力が衰え知らずなのは喜ばしいことだが、なでしこは人気低下というピッチ外の難敵とも闘っていかなければならない。