全国高校サッカー選手権で山梨学院(山梨)を11年ぶり2度目の優勝に導いた長谷川大監督(47)は、森保ジャパンで今をときめくストライカーを発掘していた。

 神奈川大を指導していた2011年にサッカー部に入部したのがMF伊東純也(27=ヘンク)だ。伊東は公立の逗葉高出身で無名の選手だったが、神大3年時に関東大学2部リーグで得点王とベストイレブンに輝きブレーク。その活躍からJ1甲府に入団し、一気にスターダムへと駆け上がった。

 才能を見いだした長谷川監督は「伊東純也はやっぱり速いし、ドリブルもすごかった。普通に走らせるとそんなに速くないが、ボールを持つと速い。速い選手はいっぱいいるけど、彼は速い中でボールをまたいでドリブルができる。これはすごいなと感じた」とその潜在能力を高く買っていた。

 ただ、当時は「シュートはそんなにうまい子ではなかった」とシュート技術に難があったという。そこで「質を高めるというより(シュート機会の)数を増やしていけば何点でも入ると感じた。『お前はシュートをたくさん打てば入る。1分の1を目指してキレイにやるんじゃなくて、たくさんその場面をつくって1本、2本入れるのが大事だ』という会話をよくしていた」と振り返る。シュートの精度を高めることよりも発想の転換で〝数打ちゃ当たる〟を意識させることで、結果的に決定力の向上につながったというわけだ。

 選手の性格を見抜いた上での個性に合わせた指導で、就任2年目での全国制覇という快挙を成し遂げた。