女子アジアカップ(5月14~25日、ベトナム)に臨むなでしこジャパン(日本女子代表)に暗雲が漂っている。2015年カナダ女子W杯アジア予選を兼ねる大事な大会となるが、海外でプレーする選手の招集が難航し、FW川澄奈穂美(28=シアトル)以外は“全滅”の可能性が出てきた。

 11年ドイツ女子W杯で優勝した日本は連覇に向け、まずはアジア予選を勝ち抜かないといけないが「欧州でプレーする選手の招集がうまくいっていないみたい。向こうのクラブが代表に出すのを嫌がっていると聞いている」(某クラブ関係者)と海外組の参戦が暗礁に乗り上げている。

 準優勝したアルガルベカップ(3月、ポルトガル)に臨んだ日本のメンバー23人中、海外組は10人を占めた。女子アジア杯は、国際サッカー連盟(FIFA)の定める国際Aマッチデーではないため、海外でプレーする選手を拘束する権利がない。そこで日本サッカー協会は、日本選手が所属する各クラブと個別交渉を重ねている。

 関係者によると、川澄はシアトル移籍の際、アジア杯参加を契約に盛り込んだため、招集に支障はない。一方、エースFW大儀見優季(26=チェルシー)や守備の要DF熊谷紗希(23=リヨン)らは微妙な情勢で、参戦できないとなれば、大幅な戦力ダウンは免れない。W杯連覇どころかアジア予選突破も不安視されかねない。

 なでしこジャパンは、5月上旬からキャンプを実施。同8日に壮行試合でニュージーランド(大阪)と対戦し、決戦地に乗り込む予定だ。佐々木則夫監督(55)は「海外組がいなくても国内組だけで勝ち取る力はある」と強気だが、果たして、強豪がひしめくアジアを海外組不在で勝ち抜けるか。