ザックジャパンは5月12日にブラジルW杯のメンバー発表を控える。最大の懸念材料はケガ人だ。MF長谷部誠(30=ニュルンベルク)のほか、右太もも肉離れのDF内田篤人(26=シャルケ)、左膝靱帯損傷のDF吉田麻也(25=サウサンプトン)が戦線離脱している。

 報道によると、内田と吉田は練習を再開し今季中の試合出場の可能性も出てきたが、問題は主将の長谷部だ。右膝半月板損傷から復帰を目指し懸命なリハビリに取り組んでいるものの、所属のニュルンベルクのフェルベーク前監督(51)は今季中の実戦復帰は絶望的としていた。

 仮に日本代表のW杯初戦コートジボワール戦(6月14日=日本時間15日)に間に合ったとしても、半年以上も実戦から遠ざかっている。試合感覚は鈍っており、本来のパフォーマンスを発揮することは難しい。このためW杯メンバー入りに向け、当落は微妙な情勢と見られている。

 だが、公認資格を持つある選手代理人は「例えピッチに立てなくても、ザッケローニはW杯に連れていくと思うよ。ほかの選手に与える影響が大きいからね」と指摘。

 長谷部は4年前の南アフリカW杯直前から主将を務め、MF本田圭佑(27=ACミラン)ら個性派集団をまとめてきた。長谷部が不在だった3月の代表合宿では選手から「やっぱりハセさんの存在は大きい。W杯までに帰ってくると信じている」との声も聞かれたほど。これまでアルベルト・ザッケローニ監督(61)が経験のあるべテランを招集してこなかったのも「チーム長谷部」の雰囲気を壊さないためと言える。

 また、長谷部はチームの戦術や方針をよく理解しており、メンバー入りすれば、試合に出られなくとも“後方支援”の役目もできる。

 ザッケローニ監督は欧州視察への出発前に「チームにとって必要な戦力となり得るのか。しっかり把握する」と話している。最終メンバー選考でどういう決断を下すのか注目が集まる。