日本のエースに大きな転機が訪れた。イタリアリーグ(セリエA)で日本代表MF本田圭佑(27)が所属するACミランは8日(日本時間9日)、ウディネーゼと対戦し、0―1で敗れた。2試合ぶりに先発出場した本田は見せ場なく、地元メディアは徹底糾弾。今後のベンチ固定化が現実味を帯びてきた。そんななか、日本サッカー界からはイタリアで成功するための“条件”が提示されている。

 ミランは11日(日本時間12日)の欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦・第2戦アトレチコ・マドリード(スペイン)戦を見据え、MFカカ(31)やMFアデル・ターラバ(24)ら主力を温存。絶好のアピールチャンスとなったなか、右MFで先発出場。しかし、本田は好プレーを見せられなかった。

 イタリア紙「ガゼッタ・デロ・スポルト」は本田にチーム最低の5点を付け「(DFクリスチャン)サパタが無駄にしたゴールチャンスは彼のCKから生まれたが、ほかには何もなかった。(チームの)設計図から外れている。戦う意欲がなかった。失望」と酷評。今後は構想から外れ、ベンチ固定化を予測している。

 クラレンス・セードルフ監督(37)は、イタリア「スカイスポーツ」のインタビューに、本田について「イタリアサッカーのことをよく知らなければならない。カリアリ戦とサンプドリア戦ではいい試合もした。何度かいいプレーもあったが、我慢して、時間を与える必要があるんだ」と話し、セリエAへの対応力が課題だという。

 5日の日本代表―ニュージーランド戦では存在感を示したが、名門クラブでは苦境に立たされている状況に変わりはない。では、イタリアではどうすればいいのか? ある元J1クラブ監督はスタメンに定着するためサッカー観の変更を求める。「本田は日本代表でもそうなんだけど、自分自身がプレーに絡まないとプレーのスイッチが入ってこないタイプ。ゴールは意識しているとしても、まだまだ中盤でのプレーが目的化している。そこはゴールが目的にならないといけない」

 最近の本田はパスを最優先し、チームバランスを整える役割もこなしているが、その考え方が間違っている。イタリアでは司令塔役を捨て、点を取る仕事に徹するべきというのだ。

 前出の元監督は「イタリアサッカーは縦に速い。つまり前へ前へのサッカー。イタリアでボールを受けてさばくのはセンターバックやボランチ(守備的MF)の仕事。本田はもっとシンプルにやらないといけない。意識を変えないとダメ」とも言い切った。

 本田はニュージーランド戦後、ブラジルW杯に向け「今後どうセードルフと話し合っていくか。彼とのディスカッションが一番のポイントになってくる」と話した。プレースタイルの変化について柔軟な姿勢を見せてはいるが、ミランで定位置を確保するにはイタリア仕様にフルモデルチェンジが必要なようだ。