女子サッカーのプロ化って本当に今、必要?

2020年11月18日 18時00分

大野忍氏
大野忍氏

【なでしこリーグ歴代最多182点 大野忍 ひとりごと】前回、このコラムでお話をさせていただいてからしばらく間が空きましたが、女子サッカー界も小さいながらもいろいろな話題がありました。代表の盟友でもあった永里優季選手が男子チームでの“デビュー”を果たしましたし、なでしこジャパンも福島で合宿を再開させましたね。

 永里選手、いやナガちゃんが男子の中に入ってもこれまでと遜色ないプレーができるのは予想できたこと。フィジカルでは勝てないかもしれないけど、彼女は抜群のポジショニングからゴールに迫る力がある。まだ得点はありませんが、近いうちにゴールネットを揺らすシーンがあってもおかしくありません。

 そんな中で、やはり私が気になるのは「プロ化」の話なんですよね。すでに発表されているように、来年9月に「WEリーグ」として開幕。先月には参入する11チームも発表されました。現在なでしこリーグにいる9チームに加え、新規参入するのが大宮と広島。選手がサッカーに集中できる環境ができるというのはいいことだと思います。

 でも、私の率直な感想は「これって本当に今必要なことなの?」。新リーグを発足させるために努力された関係者の方々には敬意を表しますが、まだ現場の選手たちにこの話が浸透しているとは思えません。私のもとには何人かの現役選手からメールがきました。「プロ化するなら、今のチームから他に移籍したほうがいいのか。それとも残ったほうがいいのか」。大体はこんな内容で、指導者になった私なら詳しいことを知っているのでは、という思いで相談してきたようなのです。

 私ははっきりとした答えを返せませんでした。私もニュースを見て知った話のようなもので…(笑い)。

 今のなでしこリーグが置かれた状況では、不安と不満しか見えてきません。リーグ戦にどれだけ観客が入っているの? この前、なでしこリーグは浦和の優勝が決まりましたけど、どれだけの人がその事実を知っているの? 

 新リーグをつくった方々は女子の活躍の場を広げるとか、世界の流れとか、大きな理念を掲げているようですが、今の日本の女子サッカーは人気がないということを理解しないといけないんですよ。

 こんな状況でどれだけ各クラブが採算を見込める経営ができるのか。プロ化によって子供たちに夢を与えることができるのか。

 私はプロ化することを「怖い」と感じています。でも、変わらないと思いながらも何かを信じないといけない。こんなネガティブな話をしているけど、本当にいいリーグをつくってほしいという思いは強いです。あとはすべて、現場の選手にかかっています。やるのは選手。自分たちの理想が実現できるようなリーグにしてほしいです。

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