国際親善試合のニュージーランド戦(5日、国立競技場)で、日本代表は4―2で勝利。2列目の左で先発出場したMF香川真司(24=マンチェスター・ユナイテッド)は前半7分までに1ゴール1アシストと上々の滑り出しだったが、その後は試合勘の欠如を露呈した。所属クラブに戻れば、再びベンチ要員となることは確実。日本復帰を含めた去就問題が再び騒がしくなりそうだが、日本代表の先輩たちはマンU残留をアドバイスしている。

 前半4分にFW岡崎の先制点をアシスト。その3分後にはドリブルでペナルティーエリアに侵入すると、自ら得たPKを志願して蹴り、今季初ゴールを決めた。だが、この日の香川はここまで。その後は動きが止まり、後半34分にベンチに下がった。

 香川は「ゴールはゴールなんで良かったと思う。常にゴールは欲しいし、いい形でマンチェスターに帰れる」と話しながらも「後半は体力的に少し落ちていた。やっぱりそこは課題だったと思う…」と認めざるを得なかった。所属クラブで出場機会に恵まれない影響はやはり大きいようだ。

 となると、再び去就問題が騒がしくなるのは間違いない。1月末で欧州の移籍市場は終了しているが、Jリーグの選手登録は3月28日までできるため、すでに日本復帰を求める声も上がっている。元日本代表MFでJ2岐阜のラモス瑠偉監督(57)も「(マンUの)モイズ監督のやり方が違うから仕方ない。心配はしてないが、試合には出てほしいネ」と前置きしながら「あくまで本人が決めることだけど、オレが代理人なら間違いなく、セレッソ(大阪)に売り込むネ」と古巣復帰も考慮すべきとする。

 では、本当に香川は日本に戻ってくるべきなのか? 香川と同じ代表の10番を背負った元日本代表MF中村俊輔(35=横浜M)は「試合に出られないのは、しょうがない部分がある。それがすごいことなんだし」。俊輔自身は2010年南アフリカW杯直前、出場機会が少なかったエスパニョール(スペイン)からJリーグに復帰したが、世界有数のビッグクラブに所属すること自体が偉業と感じている。ゆえに「J復帰? ないでしょ」ときっぱり。

 香川が兄貴分として慕う元日本代表FW大久保嘉人(31=川崎)も「あれだけのクラブに行ったのに、もったいないでしょ。帰ってきたら、そこまでの選手になる」と主張する。大久保も当時所属していたボルフスブルク(ドイツ)から09年6月にJリーグ(神戸)に復帰した。翌年の南アフリカW杯を見据えての決断だった。

「俺のときは確実に代表メンバーに選ばれる状況じゃなかったら。俺だって、それが確実だったら戻らなかった。真司は絶対にW杯メンバーに選ばれる。試合勘の問題はあるかもしれないけど、W杯直前に何試合かあるから、大丈夫」(大久保)

 日本復帰よりチーム残留のほうが確かにイバラの道。だが、日本代表の先輩たちは香川ならこの苦難を乗り越えられると見ているが…。