イタリアの名門ACミランに所属する日本代表MF本田圭佑(27)は14日(日本時間15日)のボローニャ戦で見せ場なく、サポーターからブーイングを浴びせられた。途中交代後はベンチに戻らず、地元メディアは疑問視している。10番への反発は強まるばかりで、このままでは熱狂的なミラニスタから“標的”にされかねない。

 本田はシンプルにボールをつないだが、チャンスを演出したり、ゴールを狙う機会はなく後半21分に交代。スタンドからは新10番に対し、ブーイングが巻き起こった。

 地元メディアが最も問題視したのは交代後、本田がベンチではなくロッカーに戻ったことだ。サッカー界では途中交代した選手はベンチでチームの戦いを見届けるのが慣例のため、重大なマナー違反。さすがに首脳陣から「戻ってこい」と指示が出て、最後はベンチで試合を見守った。

 本田の行動は波紋を広げた。クラレンス・セードルフ監督(37)は試合後の記者会見で、地元メディアから指摘されると「結局はベンチに戻ってきて握手したし、勝利を喜んだ。問題はなかった」とかばったが、名門クラブの10番を背負う選手として、ふさわしくない態度なのは明らか。これまで本田を支持し続けたイレブンも不信感を抱きかねない。結果を出せない上に、チームに敬意を払えない新戦力にはサポーターも反発を強めるのは間違いない。

 かつてローマでプレーした元日本代表MF中田英寿氏(37)も、活躍できないとピッチ外でもファンから罵声を浴びせられ、物を投げつけられたという。当時の中田氏の関係者は「自宅から出ると、物が飛んできたし、街も歩けなかった。人気クラブの宿命とはいえ、大変だった」。本田も熱狂的なミラニスタの標的になる可能性はある。

 元日本代表FW武田修宏氏(46=本紙評論家)は「まあ、普通はベンチで見るものだけど…。本田もうまくできなかった自分への怒りがあるのだろう。助っ人としてミラン入りしたのに、いい仕事ができていないのは本人も分かっているはず。チームになじめば状況も変わってくる」と擁護したが…。全てを覆すにはグラウンドで結果を出すしかない。