日本代表MF本田圭佑(27=ACミラン)が12月まで所属していたCSKAモスクワの元幹部であるアントン・エフメノフ氏が、本田の放出時期と手順に誤りがあったことを告白した。ロシアの「スポーツ・エクスプレス」のインタビューで語ったもので、2年前にイタリアのラツィオとの交渉が不調に終わったことについても言及した。

 エフメノフ氏は先週、CSKAモスクワのスポーツディレクター職を退任。過去に多くの選手の獲得や放出を手がけてきたが、その中で昨夏本田をミランに売却できなかったことについては後悔の念が強い。

 そもそもの「間違い」は昨年7月、ブラジル代表FWバグネル・ラブ(29)を中国の山東魯能に放出したことだったという。

「金銭的には良い取引だったが、戦力を失った。それで本田をミランに売れなくなった。後から考えれば、ラブを12月まで残して、本田をミランに200万~300万ユーロで売るべきだった」と経営戦略ミスが本田の移籍に大きな影響を与えたことを認めた。

 2012年1月にはラツィオから本田の獲得オファーを受けたが、エフメノフ氏はそこで放出すべきだったとの認識を持っている。「ラツィオからの条件提示は、我々が(オランダのVVVから)彼を獲得した時の倍額(900万ユーロ↓1800万ユーロ)だった。今思えば、2年前にラツィオに売るべきだった。当時は彼の価値を高めるために、放出しないで契約延長を試みた」との方針で本田を納得させたことを明かした。

 だが、次のチャンスとなった昨夏、ミランの高圧的な交渉姿勢もあってCSKAのギネル会長は放出を拒否。これで本田の態度が変わったという。「本田の代理人でもある兄(弘幸氏)に『あなたたちは彼の夢を壊している』と何度も言われた。本田も(7月からの半年間は)60%の力でのプレーだった」

 本田はCSKAの場当たり的な戦略の“被害者”となった。「失われた2年」を取り戻すため、ミランではこれまで以上の存在感を見せる必要がありそうだ。