元なでしこ・大野忍氏 永里優季の男子チーム入団に「案外やれちゃうんじゃない」

2020年10月07日 11時00分

神奈川2部・はやぶさイレブン入団会見時の永里憂季

【なでしこリーグ歴代最多182点 大野忍 ひとりごと】先日、私もなでしこジャパンでコンビを組むことが多かったFW永里優季選手が、神奈川県2部の男子チーム「はやぶさイレブン」に入団したというニュースに驚いた人も多かったのではないでしょうか。

 女子W杯の優勝メンバーでもあり、歴代の日本代表ストライカーの中でも屈指の実力があるとはいえ、やはり男子と同じ舞台で戦うのは「正直きついのでは」という声も周囲から聞きました。確かにフィジカルでは絶対にかないません。私もなでしこジャパンの合宿などで男子の高校生や大学生と練習試合をしてきましたが、スピードも全然違います。こっちとしてはスピードがないなりにプレーの予測でカバーしようとするのですが、球際で寄せる間合いが女子同士の試合では感じない速さだったのを覚えています。

 でも、実際にこのニュースを聞いた直後にも思ったことなんですが、私は「案外、ナガちゃんならやれちゃうんじゃないの?」という印象なんです。ナガちゃんはとにかくチャレンジャーで、私も予想していないような挑戦をどんどんしていく選手。今回についても、大人になって経験を積んだからこそたどり着いた結論なんだと思います。だから私も「ナガちゃんらしいな」と思うし、ちょっと楽しみではあります。

 ナガちゃんのプレーのすごいところは予測の速さです。男子選手と一緒に練習していけば判断のスピードも上がるでしょう。ゴール前で相手選手とぶつかるような状況ではつぶされますが、相手より早く動きだすことができればフィジカル勝負は避けられるし、チャンスはあるはずです。

 今回のナガちゃんの決断は無謀と言われるかもしれません。それこそ、今の若い女子選手たちから見れば「何やってんの」と思うでしょう。でも、この「挑戦する」という行動が大事なんです。

 今の選手たちの中には自分が置かれた環境にあぐらをかき、文句も言わず、上も目指さず、といった人もいます。でもそれでは絶対に成長しません。どんなに言われようと、どんなに実績があってもチャレンジする。ナガちゃんは自分のやり方でアピールしようとしています。だから、絶対に「相手が男子だから」ということは言い訳にはしないと思うんです。

 日本の女子サッカーにはプロ化の話も進んでいます。さらなる環境面の向上により、技術的なレベルアップは期待できます。でもプレーするには「気持ち」も大事。ナガちゃんのチャレンジャー精神を今の若い選手たちにも持ってほしい。そんな選手が増えれば日本はもっと強くなるはずです。

 ナガちゃんのチームは厚木で、私の家からも近い。デビュー戦になりそうな10月18日の試合は見に行こうかな。とにかく、私だけでなく日本中を驚かせてほしいです。