日本サッカー協会が2016年リオデジャネイロ五輪予選となるU―22アジア選手権(15年開催)の日本招致を検討している。ホーム開催となれば6大会連続の出場権獲得に有利だが、原博実技術委員長(55=兼任専務理事)が猛反対しているという。

 大仁邦弥会長(69)はU―22アジア選手権の日本招致について「方向性はそうです。日本でやれば有利になるのは間違いない。次(リオ五輪)に出られれば(20年東京五輪は本戦から出場のため)連続出場は続くので…」と前向きな姿勢。

 リオ五輪に向けたアジアの出場国決定は、新設されたU―22アジア選手権が同予選を兼ねる。ホーム開催なら時差や気候など環境面の変化が少なく準備を整えやすい。また自国サポーターの後押しを受けられ、アドバンテージとなる。

 ところが、これに反対する勢力があるという。大仁会長は「技術委員会はアウェーの方が競争力があっていいと…。選手の成長には大事なところなので、どうするか」と困惑気味に明かした。

 原委員長率いる技術委員会は、かねて選手育成には国際舞台での公式戦が欠かせないと指摘してきた。過酷な環境で重圧を受けながら戦う経験が選手のレベルアップにつながるからだ。同選手権に出場する20歳前後の若手は飛躍的な成長が見込めるだけに、日本開催を望んでいないという。

 協会は基本的に「A代表優先」の方針で、大仁会長としても将来的に活躍できる人材の育成は無視できない。「五輪には出なければならないし、女子をどうするかという問題もある。男女ともに(五輪予選を日本で)はやれない。それを含めて考えたい」と慎重だ。

 リオ五輪出場に向け圧倒的に有利な日本開催を諦めてまで育成を貫くのか。なでしこジャパンの動向も含め大きな波紋が広がりそうだ。