イタリアの名門ACミランに加入した日本代表MF本田圭佑(27)が本格的にチームの練習に合流。12日(日本時間13日)のデビュー戦へ向け臨戦態勢に入るが、一方で日本のエースはシーズン途中の移籍というハンディも抱える。一刻も早く、チームに溶け込むにはどうすればいいのか。成功への“カギ”は、チームリーダーとして絶大な支持を得るブラジル代表MFカカ(31)の懐に飛び込むことだという。

 ミランのマッシミリアーノ・アッレグリ監督(46)は12日のサッスオロ戦でデビュー予定の本田について「今までのミランにいなかった選手。早くなじんでほしい」との要望を出した。そのためにはカカとの共闘が必要となりそうだ。

 ミランの事情に詳しいテレビ局関係者によると、カカは昨夏にミランに復帰したが、当初はチームリーダーとは認められていなかった。それが、ある事件をきっかけに新リーダーと認められるようになったという。

 昨年11月23日のこと。ミランは相手のジェノアに退場者が出て数的優位に立ったが、1―1で引き分けた。これに激怒したサポーターは試合後、選手バスを取り囲んだ。身動きの取れない選手たち。そんな窮地を救ったのがカカだった。一人でバスから出ていき、チームの現状を丁寧に説明。低迷打破を約束し、ファンの怒りを鎮めてみせたという。この“鎮圧事件”を機に、チーム内はもちろんのこと、サポーターからも絶大な支持を得るようになったのだ。

 このため、同関係者は「本田とカカがうまくいくと、ミランは面白くなる」。本田がカカの懐に飛び込み、リーダーとコミュニケーションを深めれば、チームに早く溶け込めると見ている。ピッチ内での連係も高まり、シーズン途中に加入するハンディは埋められる。

 本田はすでにミラン郊外の練習場を訪問し、カカにもあいさつを済ませた。幸いにも第一印象は良かったようで、リーダーから「チームを助けてくれると確信している。テクニカルな選手でボールさばきもうまく、インテリジェンスを持っている」と最大級の賛辞で迎えられた。

 カカに好印象を持たれたことは本田にとって大きなプラス材料だ。サッカー専門サイト「ゴール・ドット・コム」編集長のチェーザレ・ポレンギ氏は「ピッチでもリーダーになればいい。(本田は)10番をつけているんだから」。日本のエースがこのままカカと共闘していけば、低迷するミランの浮上が見えてくる。