イタリアの名門ACミランに入団する日本代表MF本田圭佑(27)の究極の野望が判明した。ミランの救世主として日本代表のエースにかかる期待は日ごとに高まっているが、ミランでの最終目標を国際サッカー連盟が定める「FIFAバロンドール」の獲得に置いている。1980年代後半にミランの黄金期を築いた元オランダ代表FWマルコ・ファンバステン氏(49=ヘーレンフェーン監督)に強い憧れを抱いてきた本田は、伝説のストライカーを超えるための戦いに挑む。

 ミラノ入りした本田は、ミラン公式テレビのインタビューで「ミランは僕にとって伝説のチームで一ファンだった。小さいころからテレビで試合を見てきた。その一員になる夢がかなった」と名門クラブへの強い憧れを口にしている。


 ミラニスタ(ミランサポーターの愛称)となったきっかけは「世界最高のストライカー」と呼ばれたファンバステン氏だ。石川・星稜高からの友人が明かす。「圭佑は『ファンバステンのような選手になりたい』という話を何度もしていた。彼の現役時代のプレーに憧れて、かなりはまっていた時もあったみたい」


 1987年からミランでプレー。同じオランダ出身のFWルート・フリット氏(51)、MFフランク・ライカールト氏(51)との名トリオで世界を席巻した。ミランに数々のビッグタイトルをもたらし「クラブ史上最高の選手」とも言われる。


 95年に惜しまれながら現役を引退したが、同氏の映像を見た本田は大きな衝撃を受けた。破壊力抜群のドリブルや芸術的なシュートに魅了されたという。伝説のストライカーへの憧れがミラン入りへとつながる“原点”だったのだ。


 さらに恩師である星稜高サッカー部の河崎護監督(54)は「とにかく本田は昔から欧州チャンピオンズリーグなども見ていて意識が高かった。大きな目標を持って実行してきたから」。本田がファンバステン氏を超えるという究極の野望を掲げているのは間違いない。


 本田が意識するところは、ファンバステン氏が88、89、92年と3度受賞したバロンドール(最優秀選手賞)だ。当時は欧州に国籍を置く選手だけが対象だったが、実質的な世界ナンバーワン選手の称号。本田もミランの象徴になるため「世界一」の座を狙っている。


 もちろん、FIFАバロンドール受賞はそう簡単なことではない。イタリアリーグ後半戦で大活躍し低迷するミランを上位に導き、日本代表で臨むブラジルW杯でも結果を出す。W杯以降の新シーズンでもサッカー界を驚かせるパフォーマンスを見せて…と獅子奮迅の活躍が求められる。


 本田も、なでしこジャパンMF澤穂希(35=INAC神戸)が2011年度のFIFA年間最優秀選手賞を受賞した際に「僕もいつかあの場所に行くと決めてサッカーをやっている」と話している。今回もそれだけの決意を秘めてのミラン入り…と見ていいだろう。


 伝説のストライカーを追い越し、世界ナンバーワンになる。名門クラブで10番を背負う本田の戦いがいよいよ始まる。