久保建英と中井卓大 Rマドリードの〝至宝コンビ〟を陰で支える日本人指導者

2020年08月19日 11時00分

中西哲生氏

【西川結城のアドバンテージ(19)】日本代表MF久保建英(19)のスペイン1部ビリャレアル入りが決まった。2019年夏に世界の名門、同レアル・マドリードに加入したこの逸材は、今季は同マジョルカに期限付き移籍。世界最高峰リーグで1年目から35試合に出場した。来季、すぐにRマドリードへのリターンは実現しなかったが、久保の力に確信を深めた名門は、今度は今季リーグ戦5位となり来季の欧州リーグ出場権を獲得したビリャレアルへの再レンタルを決める。オランダ1部アヤックスやドイツ1部バイエルン・ミュンヘンなど世界の名だたる名クラブも触手を伸ばしていた中、先方の買い取りオプションをつけない形でスペイン国内のクラブに1年限定で譲ることに。近い将来、久保を呼び戻す姿勢をあらためて示した形だ。

 一方、Rマドリードにはもう一人、日本人選手が在籍している。16歳のMF中井卓大。9歳でRマドリードの下部組織の入団テストに合格し、その後、厳しい昇格競争を経て昨季はフベニールC(U―17世代)でプレー。このほど飛び級で2世代上のフベニールAの大会メンバーに登録されたことが明らかになった。細かなテクニックで躍動する久保に対して、中井は180センチを超える大柄な体格で足元の技術とキックにたけたボランチタイプ。Rマドリードの傘の下にいる2人の日本人の動向は、今後も気になるところだ。

 そして彼ら2人に、実はある共通点が存在する。いずれも同じ人間に、個人指導を受けていること。その指導者とは、中西哲生氏。現役時代は名古屋、川崎でプレーし、現在はテレビやラジオでも活躍するスポーツジャーナリスト。中西氏は名古屋時代に指導を受けたアーセン・ベンゲル氏やともにプレーしたドラガン・ストイコビッチ氏から得た知見を基に、プレーフォームなどの技術解析に着手。また当時スコットランドでプレーしていた中村俊輔(横浜FC)との“理論交流”を経て、独自にメソッドを体系化した。これまで日本代表DF長友佑都、なでしこジャパンFW永里優季、久保や中井ほか、そうそうたる選手たちの技術構築を支えてきている。

 スペインでここからさらに本格的台頭を目指し、それぞれのステージで戦おうとする久保と中井。中西氏は「彼らの成長曲線はすごい。そんな選手たちに常に気づきを与えられる引き出しを用意している。人は学びをやめたときが最後。僕が彼らに提供するだけでなく、僕も彼らからいつも学ばせてもらっている」と話す。

 オフ期の直接指導に加え、海を隔てていてもあらゆるツールで指導可能な現代。近未来を担う2人の至宝を、遠く日本から支えている。

 ☆にしかわ・ゆうき 1981年生まれ。明治大卒。専門紙「EL GOLAZO」で名古屋を中心に本田圭佑らを取材。雑誌「Number」(文藝春秋)などに寄稿し、主な著書に「日本サッカー 頂点への道」(さくら舎)がある。