大野は異次元・・・〝女メッシ〟だ

2012年06月29日 12時00分

【INAC神戸・星川監督のリアル星論】INAC神戸イレブンの中で、私が最も驚かされたのはFW大野忍(28)だ。今季は大野の価値観を少し変えることで、プレーの幅を広げたいと考え、チームキャプテンを任せることにしたが、その効果は想像以上。「まだ成長するのか」と驚がくするほど、飛躍的なレベルアップを見せてくれた。

 

 大野が試合中、得意のドリブルで相手を軽々と2人、3人と抜いていく。このシーンを見ると、思わず「スゲーな」と声が漏れてしまう。1人だけ異次元の動きを見せており、まるでバルセロナ(スペイン)のエースFWリオネル・メッシ(25)のようなプレーで、INAC神戸をけん引してくれている。

 

 そんな大野が「守備の楽しさもわかった」と言ったことがあった。INAC神戸では序盤、MF沢穂希(33)が「良性発作性頭位めまい症」で戦線離脱していた。その穴を埋めるために大野が攻守にわたって、チームプレーを見せた。少し意外だったが、責任感の強さから積極的に守備に取り組むことで新たな境地を切り開き、開眼したようだ

 

 現在、チームのゴール、アシストの5割以上は彼女のプレーが関わっている。INAC神戸が大野中心のシステムを採用していることもあるが、個人プレーだけではなく、周囲を生かすこともうまい。MF川澄奈穂美(26)とのコンビプレーも冴える。ゴールを決めることに集中していれば、なでしこリーグで大野が止められるようなことはないだろう。

 

 大野は過去リーグMVPを獲得しているように、以前から素晴らしい選手だったが、改めて突き抜けた。なでしこジャパンの一員として臨むロンドン五輪でも大きな期待を抱く。これまで沢やMF宮間あや(27=岡山湯郷)がチームの柱だったが、今五輪では大野が大活躍するのではないだろうか。

 (INAC神戸監督)