沢が悲痛告白「もう昔の自分ではない」

2012年06月24日 12時00分

  3か国対抗「スウェーデン招待」の米国戦(18日)で、110日ぶりになでしこの実戦復帰を果たしたエースMF沢穂希(33=INAC神戸)が、元日本代表FW武田修宏氏(45=本紙評論家)に重大発言をしていたことが判明。ピッチでは変わらぬ存在感を示した沢だが、武田氏に「もう昔の自分ではない」と打ち明けたという。

 3月に「良性発作性頭位めまい症」を発症し、戦線離脱。この日はプレーに本来のキレがなかったが、ピッチでの存在感は抜群だった。15歳で日本代表に選ばれて、この試合の前まで177試合に出場、80得点はいずれも史上最多。実績は他の追随を許さない大エースがなでしこジャパンに戻って来た。

 武田:試合や合宿を重ねていけば問題はないだろう。試合のポイントを見抜く力は大きい。攻撃では好機には自らが飛び出し、ゴールに絡む。守備でも相手の攻撃の芽を確実に潰す。90分間の試合で勝敗の分かれ目となるような場面で、適切な判断と適切なプレーができる。それが沢の強みだ。なんと言っても経験値が違う。だから戦況判断もうまい。リードしている場面でどうプレーするか。負けている場面なら、何をしなければいけないかを判断できる。いちいち監督の指示を仰がなくとも沢がいることで、チームに戸惑いはない。ピッチ上の司令塔で、監督でもある。

 男子の日本代表を引っ張ったMF中田英寿氏(35)のようにチームには欠かせない絶対的な存在だが、今後への不安は隠せない。

 武田:金メダルには沢が万全であることが条件となるが、怖いのは病気の再発だ。ストレスが原因といわれる。私はV川崎(現東京V)時代から沢を知るが、周囲に気を配るタイプなのでストレスをためやすい。チームの雰囲気まで気にするようだと、どうなるか。

 すでに武田氏は5月に沢と食事をした際、心境を打ち明けられたことを明かしている。そこでは重圧に苦悩する沢から〝悲痛〟な訴えもあったという。

 武田:以前にも話したが、沢から悩みを打ち明けられた。注目される存在のため、リハビリ中もファンが詰め掛け、集中できない。重圧だってある。しかも各方面に影響が出るため、言いたいことも言えない。沢も「もう昔の自分ではないんです」と言っていた。沢は腰も低いし、周囲にも配慮できる優しい女性。それでも食事中にサインや写真を求められることがあり「同席者や店に迷惑がかからないか」と考え過ぎてしまう。それがストレスとなるし、再発の不安も抱えてしまうことになるので、心配している。

「もう昔の自分ではない」――。とはいえ、金メダルを獲得するには沢の力が欠かせない。今後はいかに沢のストレスを軽減できるかもポイントとなる。武田氏も「チーム内のことはある程度、他人に任せること。日本サッカー協会やクラブは取材を規制し、イベント出演を減らすなど、極力、外部との接触を少なくすることが必要。沢がサッカーに集中できる環境が求められる」と改めて提言。五輪まで1か月半、沢に残された時間は少ない。