日本サッカー界が“最後のトリデ”を死守しようと必死だ。
日本サッカー協会は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、今年度の天皇杯の大会方式を変更することを決めた。JクラブはJ1リーグ戦上位2チームのみが準決勝から出場し、参加チーム数を88から50に絞ったうえで9月16日から開幕する前代未聞の大幅な変更となった。
Jクラブの出場がたった2チームだけとなったことについて、日本協会の須原清貴専務理事(53)は「レギュラーシーズンを1節、1試合でも多く消化することがファン、サポーター、協賛社の皆様にも重要になる」と苦渋の決断に至った理由を説明した。
また、Jリーグは新型コロナウイルス対策連絡会議で専門家チームからの提言を受け、村井満チェアマン(60)は「無観客試合も想定しなければいけない」と決意を語った。この2つの異例の方針に共通するのは、Jのリーグ戦だけは開催したいという考え。背景にあるのはJリーグを巡る巨額マネーだ。
リーグ戦は2017年からスポーツ動画配信サービス大手DAZNと10年間で約2100億円の放映権契約を結んでいる。たとえ無観客試合でも開催すれば巨額の放映権収入は確保できるだけに、天皇杯やルヴァンカップよりも優先させなければならない。それは多くの大手企業と結ぶスポンサー契約も同様で、どんな形であれ試合を開催すればスポンサー料の減額も最小限にとどめられる。
また村井チェアマンは「Jリーグはスポーツ振興くじの対象試合の責任を負っている。財源は1000億円くらいで4分の1が各スポーツ団体への助成、施設整備に使われている」と言及。他のスポーツ団体の貴重な財源となっており、Jリーグが開催されなければ日本のスポーツ界全体に及ぼす影響が甚大なのだ。
再開時期は現時点で6月、または7月を目指すが、虎の子のリーグ戦をどこまで消化できるか。