【U―23アジア選手権】タイ初8強入りを支えた新・西野流コミュニケーション術

2020年01月16日 16時30分

 西野マジックの裏側に日本サッカー界を揺るがしたあの“大騒動”の教訓があった。

 U―23アジア選手権で西野朗監督(64)が率いる開催国のU―23タイ代表が下馬評を覆して1次リーグを突破。初の8強入りを果たし、指揮官は「一つの大きな目標に到達できた。選手をたたえたい」とし、あと2勝に迫った52年ぶりの五輪出場へ「ポゼッションとスピード感を生かして挑みたい」と意気込んだ。

 戦前の予想を覆す大躍進でタイ国民を熱狂させた名将は輝かしいキャリアを誇る。U―23日本代表を率いて1996年アトランタ五輪で王国ブラジルを撃破。A代表指揮官として2018年ロシアW杯の16強入り。またG大阪監督時代にはアジア制覇を果たしたが、その功績を支えていたのは西野流のコミュニケーション術だ。独特の表現で選手を指導、鼓舞して求心力を高めてチーム強化につなげてきた。

 だが、タイでは自身初となる異国での指揮。もちろん、日本語は通じない。しかも18年の日本代表監督就任前に、前任者のバヒド・ハリルホジッチ監督(67)が選手との意思疎通がうまくいかず解任された経緯を技術委員長として間近で見ており、外国人監督の難しさを痛感。西野監督は「言葉で選手に伝えきるということを考えると、信頼関係を構築する中でハンディはある。ニュアンスも正確に伝わらない」と当初は思い悩んだという。

 そこで方針転換し「選手がどういう生い立ちなのか、その国のDNA、スタイルをいかにつかめるか」とピッチ内外で現地の情報や習慣を積極的に吸収。その上で「目指すサッカー観を共有して、気持ち、情熱を持って選手、スタッフに接していく。通訳に頼るのではなく、ボールを介して伝えきっていくこと」と新たな取り組みでタイの強化を進めた。

 W杯アジア予選を戦うタイA代表も快進撃を見せており、日本の名将が再び偉業を成し遂げようとしている。