大勝のウラでザック監督〝迷走〟

2012年06月07日 12時00分

 ブラジルW杯アジア最終予選(3日、埼玉)、日本はオマーンに3―0と勝利し、好発進した。そんな大勝劇の裏で、アルベルト・ザッケローニ監督(59)はずっとナーバスだった。試合前のミーティングでは尋常ではない緊張感を漂わせ、試合中にはMF本田圭佑(25=CSKAモスクワ)に〝説教〟するなど、不安定な精神状態を露呈したのだ。

 試合後の会見に出席したザック監督は落ち着いた口調だった。「出場した14人の選手全員の内容をほめたい。素晴らしいゲームができた」とイレブンの奮闘をたたえた。3得点の完封勝利。文句なしの好スタートとあって、満足げなコメントを並べたが、実情は違った。

 ある主力選手はザッケローニ監督の異変を感じ取っていたという。

「ベンチを見ていてもかなり怒っていて、イライラしていると感じた。おそらくボールを回しすぎ。縦に速いボールが入っていなかったから…」。ピッチ上で指揮官の意向がまったく反映されていないことに怒っていたというのだ。

 そのターゲットとなったのは本田。ザッケローニ監督は試合中、プレーが途切れると本田をベンチサイドまで呼び出し、険しい表情で身振り手振りを交えて、細かい戦術的な指示を出した。

 本田によると「あれは『もっと(積極的に)行ってほしい』ということだった。監督はバランスや選手の動くタイミングをよく言うが、横パスでスピードが落ちたり、パスを出せずに一歩遅れたり。いつもと違う動きをしている選手もいたから」となる。

 ザック監督は試合前もナーバスだったという。DF今野泰幸(29=G大阪)は「試合前のミーティングで監督からすごく細かな戦術指示があり、絶対にやってはいけないことなど具体的なことを言っていた」。激しい言葉で指示を出していたが、これも珍しい光景だった。

 もともと指揮官は5月に入ったころから「集中し始めたのかピリピリしていた」(協会関係者)とささいなことで声を荒らげる場面もあったという。指揮官がナーバスになれば、イレブンにも動揺が広がりかねないため、周囲も気に掛ける。残り7試合を1年間かけて戦うが、指揮官の精神状態が最大の不安点なのかもしれない。