復活したエースに新たな使命が課せられた。日本サッカー協会は14日に国際親善試合コロンビア戦(22日、横浜)とボリビア戦(26日、神戸)の日本代表メンバー23人を発表。1月開幕のアジアカップから13人もの選手を入れ替えたが、最大の注目はMF香川真司(29=ベシクタシュ)がロシアW杯以来の復帰を果たしたことだ。トルコ移籍で輝きを取り戻した元背番号10には、森保ジャパンにとって発足以来の悩みと言える不人気ぶりを打開する“救世主”としても大きな期待が集まりそうだ。

 ついに香川が復帰を果たした。森保一監督(50)は「ロシアW杯に参加した選手はみんな力があるし、全員招集したいと思っていた。ケガがあったり、代表強化の過程でタイミングが合わなかった」と経緯を説明。「彼らが力を持っていることは私もW杯に帯同して分かっている。今回また一緒のチームで仕事をできてうれしい」と大きな期待を寄せた。

 1月にドイツ1部ドルトムントからトルコ1部ベシクタシュに移籍して以降、好プレーを続ける香川は日本代表でも復権を期すが、ピッチ外でも熱い視線が向けられている。香川の地元神戸で開催されるボリビア戦を中継するフジテレビ関係者は「香川が代表に戻ってきたことは本当にありがたい。やっぱり知名度も実績も別格。ロシアW杯後のメンバーは若手が入ってきたとはいえ、どうしても注目度という点では厳しい。これで森保ジャパンへの関心が変わるきっかけになるのでは」。

 日本代表は昨夏のロシアW杯で2大会ぶりに決勝トーナメント進出を果たし熱狂を巻き起こしたが、その後に誕生した森保ジャパンは人気が低迷。特にテレビ視聴率は苦戦し、昨年9月のコスタリカ戦(日本テレビ系)では初陣としては異例の低さと言える平均12・3%、11月のキルギス戦(TBS系)ではあわや1桁という10・4%だった。1~2月のアジアカップ(テレビ朝日系)でも決勝カタール戦は21・4%と大台をマークしたものの、2011年にザックジャパンが戦った決勝オーストラリア戦の33・1%とは大きな差がついた。

 最近は4大大会連勝の大坂なおみ(21)、錦織圭(29=ともに日清食品)で注目を集めるテニス、五輪連覇の羽生結弦(24=ANA)、ニューヒロインとして期待される紀平梨花(16=関大KFSC)のフィギュアスケートが高視聴率を連発。他のスポーツへの関心が高まる中で、サッカー人気は低空飛行が続いている。

 森保ジャパンでは、MF中島翔哉(24=アルドハイル)、MF南野拓実(24=ザルツブルク)、MF堂安律(20=フローニンゲン)の“三羽ガラス”が台頭して話題になったとはいえ、世間の関心はイマイチ。大手広告代理店関係者も「国民各世代の関心度を測る調査でも、サッカーの数字が下がってきている」と警鐘を鳴らすほど危機的状況だ。

 そんな停滞ムードを打破できる存在が香川なのだ。同代理店関係者は「本田(圭佑=32、メルボルン・ビクトリー)や香川といった選手の人気は相変わらず高く、サッカー選手としての知名度はレベルが違う」。長年、日本代表人気をけん引してきた香川という“目玉”がいれば、番組制作やプロモーション活動などの方法も大きく変わってきそうだ。

 香川は自身のSNSで「自分の経験や立場を代表に活かしていいスタートが切れるように全力をつくします」(原文ママ)とヤル気をみなぎらせた。森保ジャパンをピッチ内外で救う起爆剤となれるか。

(視聴率は関東地区、ビデオリサーチ調べ)