トルコ衝撃2発デビュー香川 仰天FK生んだ俊輔の教え

2019年02月06日 11時00分

 悲運のエースの大復活は必然だった。3日(日本時間4日)に行われたトルコ1部リーグで、ドイツ1部ドルトムントからベシクタシュに移籍したばかりのMF香川真司(29)が、デビュー戦となった敵地のアンタルヤスポル戦で見せたプレーは欧州に衝撃を与えた。後半途中出場からわずか16秒でのゴールに加え、驚がくの直接FK弾。試合勘の欠如など不安を一気に吹き飛ばした形だが、そこにはあの「元10番」の教えがあった。

 出場機会を求めて新天地に合流してわずか3日というハンディを感じさせることはなかった。香川は後半36分にピッチに送り出されると、わずか16秒後には見事なまたぎフェイントからゴール。同39分にも直接FKを叩き込み、地元メディアから絶賛された。

 特にFKの一撃は衝撃的で、公私共に親交のあるDF長友佑都(32=ガラタサライ)は自身のツイッターに「フリーキック縦回転は初めて見たわ。あんな球蹴れるなら隠さず先言っといてや。笑」と投稿。かつて日本代表のチームメートからキックの精度の低さを指摘されていた選手とは思えないプレーだっただけに、香川を知る多くの選手や関係者も長友と同じ心境だったはずだ。

 苦手分野に対して地道に向き合ってきたことがようやく実を結んだ。イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド時代の2013年には、左足のキックが代名詞であるMF中村俊輔(40=磐田)と、ともに契約を結ぶアディダス社のCMでの共演も無駄にはしなかった。互いの得意分野を実技を交えて披露し合う内容の中、初めて間近で見る左足から繰り出される俊輔のキックから、参考になるテクニックを盗もうとしていたという。

 その後もあらゆる角度から継続的にFK技術の向上に取り組んできた。ある日本代表OBも「ドルトムントで出られない中でも地道に練習していた成果だろう」と指摘する。今季は開幕から出番を失っても腐ることなく、捲土重来を期して新たな武器を研ぎ澄ます時間に費やしてきた。その成果には手応えをつかんできたようで、昨年末にはリーグ中断期間の自主トレで、ロシアW杯日本代表GK中村航輔(23=柏)を相手に2本連続で近い位置からFKを決めて大はしゃぎする動画を自身のSNSに投稿した。

 新境地を開拓したことで、アジアカップ準優勝に終わった森保ジャパンの足りないピースを埋める存在になりそうだ。森保一監督(50)からはこれまでの経験値や高い技術を評価されているが、新天地のデビュー戦でセットプレーのキッカーとしてもアピール。アジアカップでは直接FKからゴールは生まれなかっただけに、代表復帰となれば、キッカーとして低調だったMF柴崎岳(26=ヘタフェ)やMF堂安律(20=フローニンゲン)に代わって主戦を任されてもおかしくはない。

 逆襲の第一歩をしるした男は「まだ1試合だけなので。次に切り替えてこういう結果を常に出せるようにやっていきたい」と浮かれる様子はない。さらなる活躍に向けた強い決意は、日本サッカー界にとって頼もしい限りだ。