【UAE・アルアイン発29日】森保ジャパンで渦巻く“大迫1強論”にFW陣が待ったをかけるか。アジアカップ決勝(2月1日、アブダビ)でカタールと対戦する日本は控え組がミニゲームなどで調整した。準決勝イラン戦で2得点を挙げたFW大迫勇也(28=ブレーメン)の株がさらに上昇し、他のFW陣は失格の烙印を押されつつある。だが本人たちはエースのライバルになるべく闘志メラメラだ。

 5試合ぶりにスタメン復帰した大迫はいきなり2得点の大活躍。エースの存在感はあまりにも強烈だった。試合後にイレブンが揃って大迫のプレーを絶賛したほか、元日本代表MF前園真聖氏(45=本紙評論家)も「大迫のレベルに達している日本人FWは一人もいないと言える」と指摘したほどだ。

 大迫の好パフォーマンスで、すっかり影が薄くなったのは、同じポジションの武藤嘉紀(26=ニューカッスル)と北川航也(22=清水)。2人とも大迫とはプレースタイルも違う上、異なる武器を持つストライカーだけに、複雑な胸中もうかがわせた。

 武藤は「決定力は高いし、こういう大事な試合で決めるというのは見習わないといけない」と話しつつも「けど、やっぱり…。なんていうのかな。そこを越していかないといけないという気持ちもある」とライバル心もチラリ。続けて「タイプが全然違うので。どっちのタイプがいいのかというのは、人それぞれあると思うけど…」と悩める胸中を吐露した。

 攻撃時に敵陣でボールを保持し、タメをつくって味方を生かすことにたける大迫に対し、武藤はスピードやドリブル突破を生かした決定力が持ち味。どちらが良い悪いではなく、あくまでも個人の特長を前面に出してアピールする考えに変わりはない。

 若手の北川の思いも同じだ。「日本の攻撃を支えているのがサコくん(大迫)だと思うし、それだけ大きな存在であるというのは感じた」と武藤と同じように大迫のプレーに衝撃を受けた。それでも「自分のストロングの部分もある」とプライドものぞかせる。相手守備ラインの裏へ抜け出す技術など総合力の高いFWとして定評がある。今大会中も「サコくんのプレーをしろと言われても難しいので、自分の強みを出したい」と繰り返し語り、自らの長所をアピールし続けるつもりだ。

 森保監督も2人のストライカーには大迫と同じようなプレーは求めておらず「それぞれの持ち味を生かしてほしい」と話している。日本代表でレギュラーの座をつかむためにも、自分の強みを発揮し“大迫1強”となりつつある風向きを変えられるか。