【UAE・アルアイン27日(日本時間28日)発】森保ジャパンの主導権争いが激しくなってきた。アジアカップ準決勝イラン戦(28日、アルアイン)に臨む日本は、新たな大黒柱としてMF堂安律(20=フローニンゲン)ら若手の台頭が期待されている中、MF原口元気(27=ハノーバー)がピッチ内外で存在感を発揮。ロシアW杯でMF本田圭佑(32=メルボルンV)から“後継指名”を受けた男がエースの座を狙う。

 今大会では日本の新リーダー誕生が待望されていた。中でも注目の堂安は「圧倒的な力で勝ちたい。国民のみんなに(自分の実力を)確信に変えられるようなプレーをする」「僕が優勝させてやるという気持ちでやる」とビッグマウスを連発し、チームをけん引する覚悟を前面に打ち出した。

 昨年は5戦4発と大活躍を見せたMF南野拓実(24=ザルツブルク)も今大会は無得点ながらレギュラーとして4強進出に貢献。「充実している。結果が全てなので自信を持っている」と胸を張るように、2人の若手が新チームの主力として地位を築きながらエースの座を狙っている。

 しかし、今大会で2人以上に存在感を放っているのは原口だ。左サイドのレギュラーとして準々決勝まで全5試合に出場。1次リーグ第2戦オマーン戦で決勝点となるPKを決め、準々決勝ベトナム戦でも堂安が獲得したPKをお膳立てするパスを出すなど攻撃面で強烈な印象を残した。豊富な運動量で守備面での貢献度も高い。

 昨夏のロシアW杯決勝トーナメント1回戦ベルギー戦で先制ゴールを奪うなど大活躍。その試合後、エースの本田は「今日活躍した選手、優勝と言い続けたやつが次の(日本)代表を引っ張っていく。それにふさわしいやつは見つけている。頑張ってほしい」とし、名前こそ口にしなかったものの、事実上、原口を“後継者”に指名した。

 今大会でも準決勝イラン戦前に原口がSNS上で「あと2つ。必ず勝てるように。」と投稿すると、本田が「頑張れ元気。」と反応。原口は「優勝します」(いずれも原文ママ)と応えるなど、強い絆を見せている。

 本田の薫陶を受けた自覚もあり、今大会の原口はチームの“ご意見番”として積極的に自身の考えを発信する。「圧倒的な優勝」を目標に掲げる若手に対しても「割り切って勝てばいいというスタンスでいかなければならない。サッカーなんてそんなきれいに勝てない」とたしなめるなど“新リーダー”の風格を漂わせていた。

 今大会では貢献度の高い原口をはじめ、若手勢でも、まだ「エース」と呼ぶにふさわしい選手は出ていない。この先の日本を誰がけん引していくのか。壮絶なバトルは続きそうだ。