【UAE・シャルジャ22日発】“ダークホース”を攻略できるか――。アジアカップ準々決勝ベトナム戦(24日、ドバイ)に臨む森保ジャパンはこの日、控え組が実戦形式の練習などで調整した。低評価を覆して勝ち上がり、不気味なムードを漂わせているベトナムに対して日本イレブンが警戒を強める中、宿敵・韓国出身の指揮官が最大のポイントになりそうだ。

 昨年12月に東南アジア王者となったベトナムは国際サッカー連盟(FIFA)ランキング100位と、50位の日本からすると明らかに格下。しかし決勝トーナメント1回戦では1次リーグで優勝候補のオーストラリアに勝利した強豪のヨルダンをハードワークを駆使し撃破しており、決して油断ならない相手だ。

 日本がポイントとして重視するのはセットプレーだ。サウジアラビア戦ではCKからDF冨安健洋(20=シントトロイデン)のヘッド弾が決勝点となったように、一発勝負の緊迫した試合展開では得点の大きなチャンスとなる。DF槙野智章(31=浦和)も「日本の強みになってきている。そこを出していきたい」と強調。特にベトナムは小柄な選手が多く、決勝トーナメント1回戦でスタメン出場した選手の平均身長を比べても、日本が約5センチも上回る。空中戦を活用しない手はないわけだ。

 また、準々決勝から導入されるビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)も勝敗を分けるカギとなる。1次リーグ第2戦オマーン戦では、DF長友佑都(32=ガラタサライ)がペナルティーエリア内でシュートを左手でブロックする形となったが、判定はノーファウル。「VARがあったらハンドになっていた可能性が高かった」と冷や汗をかいた。それだけにDF塩谷司(30=アルアイン)も「ペナルティーエリア内では気をつけないといけない」と警戒を強めている。

 そして最大の焦点はベトナムの指揮官だ。A代表とU―23代表を兼任する朴恒緒監督(60)は韓国出身の指揮官。昨夏のジャカルタ・アジア大会では、A代表と兼任でU―21日本代表を率いる森保一監督(50)が1次リーグで朴監督率いるベトナムと対戦(8月19日)し、まさかの苦杯をなめた。しかも試合前に敵将は「私はベトナムにいるが、祖国は大韓民国だ。8月15日がどういう日かをよく知っている。日本戦は個人的に意味が大きい」と、試合日が第2次世界大戦の終戦記念日に近かったことから森保ジャパンを“挑発”した因縁の相手だ。

 韓国内でも注目度が高まっており、地元紙「中央日報」は「日本に勝つ方法を知っている朴監督の存在も日本にとっては心地悪い」と報道。さらに「多くの韓国サッカーファンは、朴監督のベトナムを応援すると予想される」と宿敵日本を敗退に追い込むためのムードが高まると指摘した。

 2大会ぶり5度目のアジア制覇に臨む日本にとっては“裏・日韓戦”とも言える対決。4強進出をかけた戦いはキナくさい一戦となりそうだ。