【UAE・アルアイン17日(日本時間18日)発】FW武藤嘉紀(26=ニューカッスル)が“ボルゴグラードの葛藤”を払拭する一撃だ。0―1の前半43分、室屋からの右クロスにピタリとヘッドで合わせ、同点ゴールを突き刺した。チームに流れを引き寄せる貴重な一発で、逆転勝利の立役者となった。

 日本代表では2015年10月のイラン戦以来3年3か月ぶりのゴール。「代表に入ると、点が取れないことがずっと長く続いて、自分自身も少し悩んだ時期もあった。今日の得点は自分にとっても大きいものなんじゃないかな」と待望の得点に笑みがこぼれた。

 武藤にとっては苦い記憶をかき消すゴールでもある。昨夏のロシアW杯1次リーグ第3戦ポーランド戦にスタメン出場したが、不発に終わったうえ、試合終盤に攻め込まずにボールを回し続けてブーイングを浴びた。決勝トーナメントに進むために西野朗監督が下した苦渋の決断だったが、この戦略は国内外で物議を醸した。

 期待のストライカーは「僕らは3戦目を戦って、そこで負けた。かなり非難もされて…。こういう思いはもう二度としたくないと思ったし、だからこそ今日は内容うんぬんよりも結果で応えなきゃいけないという思いはあった」と、当時を振り返りながら複雑な心境を吐露した。

 大舞台で抱え込んだ胸のモヤモヤを晴らす起死回生のゴール。決勝トーナメントに向けてエンジン全開となるか。