【UAE・アブダビ14日発】“不調”の森保ジャパンに火種がくすぶり始めている。アジアカップ1次リーグF組の日本は2連勝で決勝トーナメント進出を決めた一方、第3戦ウズベキスタン戦(17日、アルアイン)の戦い方を巡って森保一監督(50)と選手間に“見解の相違”が浮き彫りとなった。他にもチーム内に衝突寸前の問題が続出しており、アジア王座奪還に向けて予断を許さない状況だ。

 1次リーグ突破も格下相手に2戦連続の苦戦。DF長友佑都(32=ガラタサライ)も「まだまだ高めていかないと上のレベルになると厳しい」と危機感を募らせた。次戦もベストメンバーで精度を高める必要があるが、森保監督は「できれば全員を使いたい」とメンバー入れ替えを示唆。主力に休養を与え、コンディションに重点を置いた起用法になる見通しだ。

 また、次戦に勝利して1位通過の場合、試合ごとに移動を強いられ、日程面でも決勝トーナメント1回戦と準々決勝の間が中2日となる。森保監督はメンバー発表の際に「スケジュールを見て1位抜けするのか2位抜けするのか。2位のほうが移動も条件的に良いのは、私も確認している」と言及。戦略面からも必ずしも1位突破にはこだわっていない。

 しかし、イレブンの意見は異なる。DF槙野智章(31=浦和)は「変に負けにいくとか引き分けにいくとか、そういうことはない」とした上で「日本でのアジアカップの注目度が高くない。関心を高めるための内容と結果を出さないと」と選手目線の本音を吐露し、あくまで全力投球で臨む構えで、首脳陣との間に方針のズレは否めない。

 アジア王座奪還に向けて注目ポイントになってくるが、他にも火種がくすぶる。オマーン戦の終了間際、日本はFKの好機を得ると、DF吉田麻也(30=サウサンプトン)がゴール前へ上がった。「ベンチが行くなと言ったけど、後ろ(でカバーした長友やMF原口元気=27・ハノーバー=ら)が『行け』というから行った」と指示に反するプレーを説明。

 一方で原口は「佑都くんと(DF酒井)宏樹(28=マルセイユ)と僕が残っているので、どう考えてもスピードで負ける気はしない」と意図を解説。ただ、危機管理を巡って、選手たちが首脳陣の指示を無視したことに不穏なムードも漂っている。

 さらに、初戦トルクメニスタン戦で交代枠が余っていながらMF乾貴士(30=ベティス)を起用しなかったこともチーム内で問題視されているという。槙野は「わだかまりはない」としながらも「そこらへんのクエスチョンは、選手と監督のところで疑問はぶつけている」と起用法を巡って指揮官とイレブンが議論を戦わせる現状が浮き彫りになった。

 昨夏のロシアW杯1次リーグ最終戦では攻めずにボール回しに徹した日本の戦略がチーム内外で賛否両論を呼んだが、森保ジャパンは方針をしっかりと固め、亀裂を修復し、優勝へと突き進めるか。