全国高校サッカー選手権は12日、埼玉スタジアムで準決勝が行われ、青森山田が尚志(福島)に3―3からもつれ込んだPK戦(4―2)の末に勝利し、2年ぶり2度目の全国制覇に王手をかけた。白星を呼び込んだのは、主将のGK飯田雅浩(3年)だった。

 この日のPK戦で存在感を発揮したのも大きいが、今大会直前に10番のMF檀崎竜孔(3年)から急きょ任されたキャプテンとしての働きも光った。というのも、今大会を迎えるにあたってまとまりに欠けていたチームを立て直したからだ。

 当時はJ1札幌内定の檀崎やJ2福岡入りのDF三国ケネディエブス(3年)らを擁し、楽に勝てるはずの青森県予選決勝を2―1で辛勝するなど、チームはバラバラで危機的状況だった。

 そんな状況で突然、主将となった飯田は嫌われ役をあえて買って出てチームを引き締めた。

 ミーティングでもイレブンに「自信を持ってもいいけど、過信はするな。テングになっていては勝てない」と言い続けたという。DF豊島基矢(3年)はキャプテンの飯田を「覚悟を持って厳しい言葉を言ってくれたおかげでチームが立ち直った」とたたえた。

 決勝(14日、埼玉)では5―0で瀬戸内(広島)に勝った流経大柏(千葉)と対戦する。2年前の優勝をスタンドで見届けた主将は「この(準決勝の)反省を生かして勝ちたい」と、ピッチ上での歓喜を見据えた。