【UAE・アブダビ発】森保ジャパンのFKキッカー争いが過熱している。アジアカップ1次リーグF組第2戦(13日)でオマーンと対戦する日本は、これまでFKキッカーを務めていたMF本田圭佑(32=メルボルン・ビクトリー)の“後継者”を巡るバトルが勃発。有力候補のMF南野拓実(23=ザルツブルク)とMF原口元気(27=ハノーバー)が激しい火花を散らしそうだ。

 アジア杯では6大会連続W杯出場の日本を相手に、多くの国がゴール前を固める守備的な戦いをしてくる。初戦トルクメニスタンでも苦戦したように、V奪還に向けて強固なDFを崩すことが不可欠だ。森保一監督(50)も「相手が研究してやってくる部分で、そこを乗り越えていかないといけない」という。

 そこで有効な策となるのは、直接ゴールを狙えるFKなどのセットプレーだ。かつて天才キッカーのMF中村俊輔(40)を擁し「日本のお家芸」だったが、現在の森保ジャパンには絶対的なキッカーがいない。今大会では有力候補だった10番のMF中島翔哉(24=ポルティモネンセ)が離脱したため、FKキッカーを巡る争いがクローズアップされている。

 そんな中、有力視されているのは南野だ。キック精度に定評があり、昨年は日本代表として5試合4得点と結果を残したことからもイレブンの信頼は厚い。南野はFKキッカーについて「まだ決まっていないので何とも言えないが…」と慎重な姿勢ながらも「得点を取ることがチームの勝利につながる」と語るように、FK弾を決めて存在を示したいところだ。

 一方、昨年11月の国際親善試合キルギス戦で森保ジャパン初のFKゴールを決めた原口もキッカーの座を狙う。初弾は相手GKのミスとあってアピール不足ながら、FKの名手として知られる元日本代表MF三浦淳寛氏(44)に弟子入りし、習得した通称“ブレ球”と呼ばれる魔球FKが大きな武器となる。

 本田やポルトガル代表FWクリスチアーノ・ロナウド(33=ユベントス)が得意とするキックで無回転で放たれたボールはGKの手前で不規則な変化をする。原口は“ブレ球”について「もうちょっと練習してから」と実戦投入を見送っていたが、アジア杯の舞台で決めれば、インパクトは十分だろう。

 他にもキックが自慢のMF柴崎岳(26=ヘタフェ)や貴重なレフティーのMF堂安律(20=フローニンゲン)が有力なキッカー候補とみられている。今後、森保ジャパンのレギュラー争いや主導権争いにも大きな影響を与えるだけに、V奪還の行方と同様にバトルの動向も気になるところだ。