【UAE・アブダビ10日発】王座奪還のカギを握るのは「88コンビ」だ。森保ジャパンはトルクメニスタン戦の辛勝から一夜明け、控え組が実戦形式の練習などを行った。前夜の試合では、格下相手に先制を許すなどふがいない内容。期待の若手にもミスが続出した。次戦のオマーン戦(13日)以降は起爆剤としてベンチ組の出番もありそうだが、なかでも注目は同じ1988年生まれの2人だ。

 10日の練習は、トルクメニスタン戦の先発組11人が疲労を考慮して宿舎内で軽めの調整。残る12人はグラウンドで約1時間半にわたり精力的に汗を流した。

 1次リーグ初戦となった前日はアジアカップ未勝利の格下相手に大苦戦。なんとか逆転勝ちを収めたが、多くの課題が噴出した。特に目立ったのが若手の不調。MF堂安律(20=フローニンゲン)とFW北川航也(22=清水)が失点の起因になった。森保一監督(50)は若手と心中する覚悟だけに1試合で見限ることはないだろうが、優勝まで全7試合を戦うことを考えると総力戦となるのは必至だ。

 今回はメンバー外となったMF香川真司(29=ドルトムント)も「(先発で)出ていない選手が決勝トーナメントで2~3人ヒョイっと出てきたりする。そういう選手が必要になる」と優勝のポイントとして“ラッキーボーイ”の出現をポイントに挙げていた。その期待がかかるのが、ともに追加招集のMF乾貴士(30=ベティス)とDF塩谷司(30=アルアイン)だ。

 前夜の試合でも窮地を救ったのは、2得点を決めたFW大迫勇也(28=ブレーメン)、アシストをマークしたMF原口元気(27=ハノーバー)やDF長友佑都(32=ガラタサライ)といったロシアW杯の主力組。経験値がものをいう国際大会だけに、その中心選手の一人だった乾に寄せられる期待は大きい。

 この日もミニゲームで得点を決め、居残りでシュート練習を敢行。ロシアW杯で決めたゴールや左の位置の“乾ゾーン”から遠いサイドを狙った右足シュートを鋭く決めると「見てました? 森保さん」と無邪気にはしゃぎ、雰囲気を盛り上げた。「ピッチを広く使いたい。律が仕掛けるタイプなので、俺はバランスを取っていければ」とチームを立て直す具体的なイメージも描いている。

 守備陣はアクシデントが続出し、守備的MFが手薄な状況に陥っているが、経験豊富な塩谷は「(守備位置は)後ろ全体と考えている。どこでもできる準備、イメージは持っておく」と泰然自若。普段UAEでプレーする視点からチームにアドバイスもしており、この日は「オマーンはサポーターがたくさん来る。アウェーという感じが出てくるのでは」と独自の見解も披露した。

 ともに88年生まれの同学年。取材エリアでは塩谷が「乾“さん”が帰ろうと言っているので帰りま~す」とおどけてみせるなど息はピッタリ。三十路で円熟期を迎えた2人が森保ジャパンの救世主になる。