【前園真聖 ゾノの焦点!】アジア制覇の条件とは――。アジアカップ(5日開幕、UAE)に臨む日本は1次リーグF組初戦(9日)のトルクメニスタン戦に向けて現地で調整を続けている。2011年に優勝したカタール大会以来の王座奪還が期待される中、元日本代表MF前園真聖氏(45)が森保ジャパンの戦略を分析。切り札にはFW武藤嘉紀(26=ニューカッスル)を指名した。

 いよいよ真剣勝負の舞台です。森保ジャパンが優勝を狙うには、まず中東特有のタフな環境と過密日程を考慮しなければなりません。そこで重要になってくるのは選手のコンディション調整。先発メンバーを固定して戦うのは難しい状況にあり、ある程度はローテーションしながら、選手の負担を軽減することが求められるでしょう。
 中でもポイントになるのは1次リーグ最終戦となる3試合目(17日、ウズベキスタン戦)。日本が1、2試合目に勝利すると勝ち点6で決勝トーナメント進出はほぼ確実となります。そうなれば、3戦目は実質的な消化試合となり、主力選手を休養させることも可能。また試合間隔が空いた選手を起用することで体調を整えることもできます。

 もちろん、決勝トーナメントを見据えてグループを1位突破するかどうかも重要なテーマになる場合もありますが、消化試合にできれば、体調面に加えて精神面でも優位に立てるなどのメリットが出てきます。つまり森保ジャパンにとっては、初戦から確実に白星を積み重ねることが今大会を制覇するための条件になると言えるでしょう。

 一方で、チームでは主力メンバーに定着したMF中島翔哉(24=ポルティモネンセ)、MF南野拓実(23=ザルツブルク)、MF堂安律(20=フローニンゲン)の若手3人衆に注目です。新体制の発足後、4勝1分けと好スタートの原動力になりましたが、初の公式戦でも存在感を示せるのか。特にアジア各国は日本と対戦する際、ゴール前を固める守備的な戦術を敷いてきます。その堅守を崩し、昨年と同じように貪欲な姿勢でチームの攻撃をけん引してもらいたいです。

 日本のキーマンはズバリ武藤です。1トップを務めるFW大迫勇也(28=ブレーメン)と同じようなポストプレーはできないにしても、彼の長所であるスピードとテクニックを生かした攻撃が期待できます。決定力もあるので、大事な局面ではスーパーサブとしても貴重な存在。2列目もこなせるのでチーム戦術の幅も広がるでしょう。

 優勝を争うライバル国は韓国、オーストラリア、イランとみていますが、まずは森保ジャパンが1次リーグをどういう戦略で取り組むのか。

 そこがアジア制覇に向けた大きなポイントになるのは間違いありません。