天皇杯を制覇したJ1浦和への移籍が確実になっているJ1C大阪の日本代表FW杉本健勇(26)に、新天地での活躍に向けた不安要素が浮上している。

 身長187センチの高さと足元の技術を兼ね備えた点取り屋は今季、ケガもあってシーズンを通して活躍できず、リーグ戦5得点止まり。だが22ゴールを奪った昨季の決定力は、来季複数タイトル獲得を目指す浦和の貴重な得点源になりそうだ。

 ただ問題は、杉本が能力を100%発揮できるかにある。Jクラブ随一の熱さを誇る浦和サポーターから受けるプレッシャーは、他クラブの比ではない。杉本を知るJリーガーが「闘志を前面に出すタイプではない」と指摘するように、浦和の“熱量”になじめるかという懸念は消えない。

 広島から移籍してきたMF柏木陽介(30)やDF槙野智章(31)らも浦和の重圧に苦しんだ時期もあったが、自分なりの方法論を見つけてうまく消化。杉本が同じようにその境地へたどり着けるかは未知数で、乗り越えなければならないハードルは多い。

 首都圏に舞い戻って“悪癖”が再び顔をのぞかせる心配もある。川崎時代の2015年は、六本木などに繰り出す機会も少なくなく、定位置奪取には至らなかった。当時、リーグ戦6得点はポテンシャルからすると物足りない成績。16年にC大阪に復帰してから練習に精進して素質が開花しただけに、今回の移籍は“自分との戦い”でもある。

 川崎時代は当時のチームメートのFW大久保嘉人(36=磐田)から「健勇(の実力)ならもっとできるはずなのに」とボヤかれていた。浦和でも同じセリフが聞かれないことを祈るばかりだ。