サッカー日本代表は国際親善試合キルギス戦(20日、豊田)に4―0で快勝し、森保一監督(50)は無敗(4勝1分け)で年内最終戦を締めた。抜てきした若手が躍動し、結果を残して来年1月のアジアカップ(UAE)に臨む森保ジャパンを元日本代表FWの武田修宏氏(51=本紙評論家)が総括。チームづくりを称賛する一方で、指揮官がこだわる“あの選手”の取捨については厳しい見方を示した。

【武田修宏の直言!!】現地に足を運んでチーム状況をチェックさせてもらったけど、森保監督は丁寧にチームをつくっていると感じたね。一つひとつ戦術を落とし込み、選手が期待以上のスピードで吸収したことで、順調に成長している。監督は「点差が開いている中でも選手たちはチャレンジし続けてくれた。アジアカップに向けて今できることはすべてやった」と話したけど、自分が思い描いたプランで進められたんじゃないかな。

「若手三羽ガラス」と言われるMF中島翔哉(24=ポルティモネンセ)、MF南野拓実(23=ザルツブルク)、MF堂安律(20=フローニンゲン)を初戦から先発に抜てきすると、彼らは見事に期待に応えた。森保監督の戦術を理解して体現するのは簡単なことではない。でも3人は難なくクリア。彼らの能力の高さは技術だけでなく、こういう部分にも表れている。

 ただ、アジア杯は何が起こるかわからない。相手のラフプレーで故障する選手が出てもおかしくないし、予測不能の判定で誰かが出場停止になる恐れもある。そうなった時のことを考え、森保監督は「今まで呼んでいない選手をアジアカップに呼ぶ可能性がある」という発言をしているのだと思う。明言していないが、MF香川真司(29=ドルトムント)を指しているのは間違いない。

 だが森保監督はかねて「(所属チームで)出ていない人は呼ばない」と話している。クラブで構想外となり、試合を消化できていない香川を招集することはない。でも、あと1か月で劇的に状況が変わって試合に出られれば、森保監督は招集リストに入れると思う。やはり香川の経験値はトーナメントを勝ち抜くうえで必要だからね。

 とはいえ、これはかなり高いハードルだよ。今の代表に入ったところで中島、南野、堂安の牙城を崩すのは難しい。むしろ監督が期待しているのは、今回ケガでメンバーから外れたFW鈴木優磨(22=鹿島)かもしれない。鈴木にはまだリーグ戦も残っているし、何よりも世界の強豪と戦うチャンスがあるクラブW杯(12月12日開幕、UAE)が待っている。アジア王者に導いた点取り屋ならアジアカップでも結果を出せるはず。

 競争が激しい今の森保ジャパンは、不確定要素の多い香川を優遇できるほどの余裕はないよ。