森保ジャパンが16日に行われた国際親善試合ウルグアイ戦(埼玉)で4―3と接戦を制し、初陣から3連勝。南米の強豪国に対して躍動したのが、MF南野拓実(23=ザルツブルク)だ。3試合連続となる先制弾を含む2得点という離れ業をやってのけ、日本の新エース誕生を強烈にアピール。若きストライカーが覚醒した裏にあるのは、古巣J1C大阪での日々だった。

 まさに南野劇場だ。前半10分に華麗なターンから相手DFを振り切って先制ゴールを奪うと、3―2と勝ち越した後の後半21分にも貴重な追加点。国際サッカー連盟(FIFA)ランキング5位のウルグアイを破る大金星の原動力となった。

「ターンからのシュートは、イメージ通りスムーズにできてよかった。2ゴールできたことは自信になる。アジアカップ(来年1月、UAE)までのサバイバルのなかで監督にアピールできてよかった」。普段はクールな南野も自画自賛するほどの活躍ぶりだ。

 森保一監督(50)の初陣となった9月のコスタリカ戦、12日のパナマ戦に続く3試合連続ゴール。「W杯で戦った選手を脅かす存在になっていかないといけない」と虎視眈々と狙う新エースの座をグッと引き寄せた。

 新生ジャパンの象徴となりつつあるが、代表でブレークするキッカケとなったのは“セレッソ人脈”にあるという。

 南野はC大阪のユース時代からMF香川真司(29=ドルトムント)を「憧れの人」と尊敬し、2013年7月に香川が所属していたマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)とC大阪が親善試合を行った際には、自ら出向いてアドバイスを仰いだ。「真司さんからはとても参考になる話を聞けた。生かしていきたい」。そのときは香川のユニホームまでゲットしたほどの“シンジ信者”だ。自身が欧州へ渡った後は親交も深まり、普段から連絡を取り合いながら意見交換している。

 また、C大阪で共闘したFW柿谷曜一朗(28)の存在も欠かせない。南野は「よく食事に連れていってくれる。そういう時は、わざわざ寮まで迎えに来てくれる。本当に後輩思いというか優しい」と慕っている“兄貴分”。試合やプレーのことを語り合うのはもちろん、プライベートな話題でも相談に乗ってもらい、公私両面でサポートを受けた。「曜一朗くんはオンとオフの切り替えがすごい」と同じストライカーとしてピッチ内外で手本にする選手なのだ。

 そしてC大阪でトップチームに引き上げられた時に厳しい指導を受けたレビー・クルピ監督(65)。当時から才能を評価されていた南野に対し、名将が口酸っぱく説いたのがゴールの重要性だ。「『攻撃陣は数字や』とレビーにはすごく言われてきた」と薫陶を受けた南野は、得点という誰が見ても分かりやすい結果に貪欲にこだわる姿勢を身につけたのだ。

 セレッソの血が流れる南野が、日本代表で満開のサクラを咲かせようとしている。