柱谷哲二氏と武田修宏氏が新星森保ジャパンを大解剖【前編】

 かつての盟友が大激論だ。札幌市内で合宿中の日本代表では4日、森保一監督(50)の初陣となる国際親善試合チリ戦(7日、札幌)、同コスタリカ戦(11日、大阪)に向けて全選手が集合した。一体どんなチームになるのか。“ドーハの悲劇”と呼ばれた1993年米国W杯アジア最終予選を新指揮官とともに戦った元日本代表DF柱谷哲二氏(54=J3北九州監督)と同FW武田修宏氏(51=本紙評論家)が“緊急対談”。前編では森保ジャパンを徹底分析した。

 柱谷氏:各ポジションにDF槙野智章(31=浦和)、MF青山敏弘(32=広島)、FW浅野拓磨(23=ハノーバー)と自分が関わった選手を入れてきた。A代表でも森保監督の“代名詞”でもある3―4―3布陣だろうし、そのために3人がキーになってくるんじゃないかな。

 武田氏:森保監督が3度のJ1制覇を果たした広島監督時代の教え子たちですね。今回、最大の目的は自身の方針や戦術をイレブンに理解させること。森保サッカーを知る選手を軸にすれば、他の選手にとってお手本になりますからね。基本となる部分は早く浸透するでしょう。

 柱谷:ベテラン2人はそういう役割には適任じゃないかな。槙野はコミュニケーション能力が高いしムードメーカーでもある。経験を生かして森保流を浸透させてほしい。付き合いの長い青山も、他の選手に監督の性格などを含めて伝えていってもらいたい。

 武田:青山は戦術面もポイントになりますね。ケガでロシアW杯には出場できませんでしたが、チーム全体にビジョンを示せる選手。攻撃面で緩急をつけられるし、絶妙なタイミングで入れる縦パスやスルーパスは見事ですから。FW浅野とのコンビも注目ですよ。

 柱谷:森保ジャパンでは生き残りもテーマになる。監督が「まだコアなチームではない」と話すように、ロシアW杯の主力が不参加の中、代表に定着するため、どこまでアピールできるか。プレーの良しあしは重要だけど、どれだけ戦術を理解しているか、見極めるポイントじゃないかな。

 武田:今後の展望としては“日本化”でしょうか。2月に東スポの企画で森保監督と対談したとき、日本人の特長は生かしていきたいと言っていたので。具体的には組織力と俊敏性でしょうけど、J1広島の監督時代もパスワークに加えて連動性のあるサッカーをしていましたし、独自のスタイルをつくり上げてくれそうです。

 柱谷:森保サッカーの中に、MF堂安律(20=フローニンゲン)やDF冨安健洋(19=シントトロイデン)ら新戦力が入ってどういうものが出来上がるのかは楽しみ。彼らは東京五輪世代でもあるから、よりレベルの高いA代表で刺激を受けてさらに成長すれば、2年後には大きな戦力になるんじゃないかな。

 武田:それと世代交代も大きな課題です。過去に東京VやG大阪が失敗してJ2に降格したように、クラブでも難しい取り組みです。広島時代にFW浅野を我慢して起用し、独り立ちさせた実績はありますが、A代表という舞台でうまく新旧戦力を入れ替えられるか。もちろん、勝ちながら…ですからね。

 柱谷:あと兼任も大変だろうけど、それは覚悟の上で引き受けたんだと思う。だからもう兼任どうこうは言わないよ。日本で一番勝っている監督なわけだし、そこはやってくれるはず。芯が強くて人の意見にもしっかり耳を傾けられる男。ぜひ頑張ってもらいたい。

 武田:ドーハ組で2020年東京五輪と22年カタールに臨む森保ジャパンを全力でサポートしましょう。(明日の後編に続く)